松茸人工栽培研究の副産物  〜1〜

博士の研究史

松茸菌を回転させながら培養していくと

松茸菌は小さな小さなツルッとしたボール状になっていく。

そこから培養日数に応じて、仁丹状・ビー玉状・ピンポン球状・・・・

と綺麗なボールが出来上がっていく。

 

松茸の香気成分発生メカニズム解明研究において

培養液が研究対象で、残ったボールには用は無い。

用済みのフラスコの中身である培養液と松茸菌を処理しているある時、フト

「松茸の形はしていないけどこのボール状のモノは

正真正銘の松茸だ。食べてみようかな?」と思いついた。

 

ボール状の松茸菌をピンセットでつかみ取って、

「どうやって食べるか」

一寸悩んでから、ボール状の松茸菌を焼いて食べてみることにした。

実験台のガスバーナーに火を付けて、

ピンセットで挟まれた松茸菌を近づける。

すると、焼けていくとともに松茸の香りが漂う。

生焼けや焼きすぎて焦げたりするのは嫌だから

一寸慎重にガスバーナーの火力を調整する。

失敗しても余るほどのボール状の松茸菌があるから大丈夫なのだが。

 

良い焼き色が付いた松茸菌を口にしてみる。

ボールの形が目に入るとボールの先入観が邪魔をすると考え、目を閉じて口にした。

口に入ってきた瞬間に松茸の香りが口に広がって

噛めばコリッとした松茸そのものの食感。

形がボールという違いがあるだけで、風味や食感は松茸そのもの。

 

こうして研究の過程で出来る、用済みの

副産物が新たな製品開発のテーマに急浮上したのである。

ガスバーナー手入れとの操作 <みんなで使う理科室> | おもしろ理科(Preparation Assistant for Scientific Experiments and Observations)