松茸の人工栽培  〜1〜

博士の研究史

かれこれ35年ほど前のこと・・・。

紀文(現 紀文食品)のバイオ研究の責任者として

メンバーと共に様々な研究テーマに取り組んでいた。

それらは機会をみて備忘録として書いていくつもりだが、

研究に取り組みながら、更なる新テーマを模索していた。

だから学会やセミナー、講演会などには積極的に参加するようにしていた。

 

そんなある時、有料セミナーの案内が届いた。

「松茸の人工栽培研究の現状」記憶が定かでは無いがこんなような演題。

講師は近畿大学農学部の寺下隆夫先生。

この案内を見た瞬間に、申込書に記入し始めたのを記憶している。

 

僕にとって松茸はじめキノコ類は、食べるだけの対象で

研究テーマになるとは思っても見なかったが、

高価な松茸の人工栽培とはどんなことをするのだろう・・

という興味だけのセミナー申し込みだった。

 

セミナーは約2時間。

松茸の人工栽培には多くの研究者が関わっている事、

人工栽培のアプローチは多岐にわたる事、

寺下研究室での研究状況と未来の展望、、、、、。

全てが僕に多くの刺激を与えてくれた。

 

セミナー終了後、先生が帰り支度をしている所へ

僕はズカズカと歩み寄って名刺を差し出して

「今日はありがとうございました。」

「一度、研究室へ伺う事は可能でしょうか。」と尋ねた。

怖いもの知らずの図々しさが僕の中に存在していた・・・。

 

先生は「事前に連絡頂ければいつでも良いですよ。」と直ぐに答えてくれた。

先生が反応してくださったからには早ければ早い方が良い、というわけで、

その日から1週間後に僕は近畿大学の寺下研究室で先生と対峙していた。

セミナーを受講してから間を置かないこの行動が、

35年経った現在までも続く、

寺下先生(現近畿大学名誉教授)とのお付き合いに繋がった・・。