松茸の人工栽培  〜3〜

博士の研究史

研究室を訪ねて共同研究の申し込みをした日から2週間後、

再び寺下研究室を訪ねた僕は恐る恐る

研究テーマ案「松茸の香気成分発生メカニズムの解明」を先生に差し出した。

 

一通り僕の研究企画書に目を通されてから先生が口を開いた。

「面白いアプローチですね。一緒にやっていきましょう。」

共同研究を進めていく事が決定した。

 

松茸菌は寺下先生がストックされていた菌をいただいた。

松茸菌を培養する条件などを詳細に教えて頂いた。

これらを活用して

先ずやるべき事は横浜にある研究所で松茸菌が香気成分を発生する現象を

創り出す事である。

松茸菌を培養するのは液体培養。

液体培養の培地成分の組み合わせ、

培地成分一つ一つの添加量の増減、

新たなアミノ酸やビタミン、ミネラル類の添加、、、

など気が遠くなるくらいの多さの培養条件を設定した。

松茸はその生育速度が遅いので培養には2-4週間ほどの時間が掛かる。

そして培養した松茸菌の培養液中の香気成分をチェックしていく。

最初のチェックは官能、つまり嗅覚で行う。

詳細なチェックは松茸の香気成分である、1-octen-3-ol

を液体クロマトグラフィーで追いかける。

 

流れが決まれば、後は肉体労働と同じなのでひたすら単純作業の繰り返しとなる。

必ず松茸の香りが急激に増大する現象を見い出してみせる!

という強い意志が結果を左右する。