松茸の人工栽培  〜5〜

博士の研究史

松茸菌を育てる培養液を構成するアミノ酸、ビタミン類、ミネラル類、

糖類などの成分を様々な組み合わせで培地を作成し、

ひたすら松茸の香り成分である、1-octen-3-olの発生量を測定していく。

 

2年ほどの期間を経て、アミノ酸の増減によって、1-octen-3-olの発生量が

動いている事が分かってきた。

更に数ヶ月の期間を経て、フェニルアラニンの添加量によって

1-octen-3-olの発生量が最も動く事を突き詰めた。

最も1-octen-3-olの発生量が多くなる培地組成を確立し、

更なる発生量の増加を目指す事にした。

 

自然界においては松茸の発生と共に松茸の香りが辺りに立ち込める。

松茸の発生には刺激が必要だ。

刺激とは大雨、雷などを言う。

この大雨に注目した。

大雨が降ると気温が低くなる・・・。

 

最も1-octen-3-olの発生量が多くなる培地組成によって

培養した松茸菌からの香りがピークに達するのを待って

そのまま一気に冷蔵庫に移す。

移してから12時間後、その培養液の1-octen-3-ol量を

測定すると・・・・・なんとものの見事に1-octen-3-ol量が数倍増加。

仮説を立ててその仮説が実証される瞬間は、小躍りしてしまうほど嬉しいモノだ。

 

再現性を何度も確認して、データー化し、1987年から3年間で

結果を学会発表したり論文発表したりした。

松茸の香気成分発生メカニズム研究は、雑誌で取り上げられたり

当時、池袋で行われたバイオ展覧会では

その香りを嗅いでみたいという来場者の長い行列が出来た。