トウモロコシの天ぷら

食・彩・記

夏と言えばトウモロコシ

 

トウモロコシと言えば、夏祭りなどの

屋台で食べる焼きトウモロコシが好きだ。

焼き上がる直前に刷毛でスーッと醤油を

塗ってから更に焼くと、もうそれだけで

醤油が焦げる香りが鼻腔をくすぐる。

醤油好きの僕にはたまらない。

自宅では母によって、三等分にされて茹であげられた

トウモロコシ数本分が大きなボールの中で

塩と共に湯気をあげながら目の前に出されたものだ。

口にすると、塩の濃度が所々違っていて、

塩気好きの僕は塩の濃度が高いところに

当たった時に心の底から「旨い!」と叫んでいた。

いずれも幼少の頃の思い出だ。

 

社会人になって、タイへ出張が度々あった。

ある時、街中を歩いていて、茹でたトウモロコシの

屋台と出会った。

思わず、「1本!」とジェスチャーで購入。

店主は満面の笑みを浮かべ、恐らく塩気が効いている

と思われる液体にチャポンと潜らせて渡してくれた。

ホテルに戻り、口にした。

一寸小振りのトウモロコシ全体に塩気が効いていて

あっという間に美味しく食べ尽くした。

その夜、海外において初めて!お腹の調子を悪くした。

見事なる食中毒・・・。

お腹が悪くなった瞬間に、「トウモロコシが潜り抜けた

あの水溶液」が原因だと気付いたのだった。

トウモロコシに惹かれての、油断の結果だ・・・。

 

トウモロコシの旬の走りである6月の某日、

トウモロコシの天ぷらを頂いた。

目の前に現れたのは、小さめに実を削いだ

トウモロコシが2片。

上品にうっすらと衣を纏っている。

家で揚げてもこうはいかない。

レモンを軽く搾ってそこに塩を付けて

口にする。

酸味と塩気が口に広がってその後から旬の甘みが

追いかけてくる。