「奥尻島の岩のりを天ぷらにして白エビを乗せてあります。一口でどうぞ・・・。」
とカウンター越しに大将が説明してくれる。
「独創の一品って言ったところだね。」と僕が返すと
「はい、一寸ずつですがいろいろとチャレンジしています。」と
別の客人の天ぷらを揚げながら大将が応えてくれる。
岩のりといえば、岩場に自生している天然の海苔のこと。
天ぷらにされてある海苔の形状から、奥尻島の岩場で採れた海苔を板状に乾燥させたモノだろう。
乗せてある白エビは白エビで鮮度の良さがその輝きで分かる。
大将のお薦めに従って、そのまま口に放り込む。
トローンとした白エビからなんとも言えぬ甘味が山葵の辛みを伴って口に広がっていく。
それと前後して岩のりの衣のパリ感を感じる。
そして岩のりの磯の香を伴う繊細な旨さが追いかけてくる・・・ハズがその期待は実現しなかった。
白エビの存在が大きくて岩のりの存在が失われていたようだ。
白エビは白エビだけで、岩のりは岩のりだけで口にするのが良いのかも知れない。
大将に「独創料理、美味しいね!」と言えなかったことで
きっと免疫力はダウンしているだろうから、
こんな時には次の料理をより美味しく頂いて「旨い!」と叫んで免疫力を挽回するに限る。