イチジクの逸品

食・彩・記

大将がカウンター越しに無花果を取り出してその皮を剥き始めた。

料理が始まってからあまり時間が経っていなかったので

デザートには早過ぎるから、イチジクの料理かな?・・・一瞬頭を過ったが

直ぐに客人との会話に戻っていた。

 

その会話を遮るように女将が次の料理を出してくれた。

間髪入れずに、

「イチジクの天ぷらです。」

「下に敷いてある肉と一緒に召し上がってください。」

大将がカウンター越しに目の前に供された料理の説明をしてくれる。

 

箸を伸ばせばイチジクは簡単に小分け出来た。

衣に包まれた見た目トロリとしたイチジクが現れる。

肉を上手く一緒に摘まんで口に放り込む。

 

その瞬間に衣のサクッ!とイチジクのトロリ!をリアルに感じる。

噛めば肉の醤油ベースの甘辛さが旨味で加わってくる。

更に噛み締めていけば、イチジクの上品な香りと甘さが

肉の甘辛さと混じり合っていく。