「隠岐牛のミートボールです。」
大将の説明を聞くまでは小さなハンバーグだろうと思っていた。
考えて見れば、ハンバーグとミートボールの違いって何だろう?・・・
そう思って大将に尋ねる。
大将の答えは明確だった。
「違いは形です。」
隠岐牛のミートボールには見た目からしてコッテリとしたソースが掛けられている。
マナーという名の決まりを度外視すれば、
ヒトがおかずを食べる順番は十人十色と言われている。
僕は自分が好きなものは一番最後に食べるタイプだ。
だからこの日のこの一皿も、先ずは無花果とブドウを食べてしまう。
一緒に行った客人二人の存在は全く無視して・・・。
無花果とブドウが無くなればお皿にはミートボールだけが残っている。
ミートボールを半分に切り分けて、ソースをたっぷりと付けてから口にする。
恐らく大将手作りであろう濃厚なデミグラスソースから来る
複雑ななんとも言えぬ旨味が口に広がり、
噛みしめれば隠岐牛からジュワーッと旨味たっぷりの肉汁が滲み出てくる。