1月の中旬、出された器を見れば綺麗に盛り付けられたタケノコとワカメ・・・。
若竹煮だ。
この時期だから、タケノコは早掘り、ワカメは早採りのもの。
出汁でタケノコを煮あげてからワカメを入れて
短時間煮てから、器にタケノコとワカメを盛って、煮汁をはり、木の芽を添えるのが若竹煮。
器の中はその若竹煮の作り方の教えそのままの姿があった。
早掘りのタケノコ、早採りのワカメが
まだ冬真っ盛りのこの時期に春がやがて訪れることを告げてくれている。
添えられた木の芽、タケノコ、ワカメを同時に箸で摘まんで口に入れる。
その瞬間に、上品な出汁の旨味がワカメから滲み出て口に広がり、
その後から僅かな辛みを伴って木の芽の香りが追いかけてきて、
タケノコを噛みしめればそこには幾重にも春の旨味と香りが入り交じっていく。