カワハギのお刺身を頂いた。
別のお皿にその前に出たカワハギの天ぷらが一つ残っていたので
お刺身のお皿に僕の手でカワハギの天ぷらを添えてみた。
カワハギ刺しと言えば肝醤油だ。
知ったか振りで大将に
「肝醤油がポイントだよね。
これってカワハギの肝と醤油を合わせてあるんだよね。」
と問うと
「ちょっと手間が掛かるんですよ。」
と大将が答えてくれた。
そこから肝醤油の解説が始まった・・・。
要点をまとめてみると・・・。
肝の下処理である血抜き、湯引き、、、が大切。
醤油と混ぜる前に肝を滑らかになるまで包丁で叩いて出来上がり・・・。
この解説に素直にふーんと言えば良いものを追い打ちで問う。
「湯引きとかすると旨味とかが失われるのでは?」
大将が答える。
「加熱すると旨味が逃げるだろうと考える方は多いのですが、
加熱すると逆に旨味がアップするんですよ。
まろやかで濃厚な肝醤油を作るには、カワハギの肝を必ず湯引き、加熱することがポイントで、さらに旨味を閉じ込めるために湯引き後氷水で締めることも大切なんです。」
そんなに手間が掛かるのか・・・
そんなに手間の掛かっているモノを食べられるなんて有り難いことだ。
カワハギ刺しの一片を箸で摘まんで肝醤油をたっぷりと付けてから口にする。
カワハギ自体は淡泊な味。
先ず感じるのはまろやかにして濃厚な肝醤油の存在だ。
その肝醤油に混ざり合うのが歯ごたえ十分なカワハギの身。
淡泊な味と濃厚な味を少しでも長く堪能させてくれるのがカワハギの身だ。
カワハギの天ぷらはその身を厚く切り分けて天ぷらにしてある。
これに肝醤油を付けると刺身に使う肝醤油が足らなくなってしまうので、
天ぷらには醤油を付けて口にする。
カワハギの身がホクッとした状態で口に広がっていく。
カワハギの身の存在感は生でも揚げられていても変わらぬ大きさだ。