アワビの酒蒸し

食・彩・記

その昔、お寿司屋さんでアワビの刺身が

メチャクチャ硬くて歯の丈夫な僕でさえ噛むのが大変だった事があった。

いつもの・・・アワビの刺身はコリコリしていて美味しいね・・・

という感覚からは程遠いものだった。

その時はアワビの個体差によって硬くなるものが

あってタマタマそれに出くわしてしまったのかな?と思っていた。

 

それからしばらくして馴染みのお店が出来て

大将と話している時にアワビの締める時、

塩をかけてこする事によって身が硬くなる事を知った。

大将はその説明と同時に、

「一寸イヤな客の場合、わざと硬くして出すような事も出来るんですよ。」

とも説明してくれた。

「じゃあ昔の寿司屋さんに嫌われていたのかな?」と

問えば、

「そうは言っても、わざと意地悪はしないもんですよ・・・。

その大将の腕が悪かったのかも・・。

それとアワビの鮮度が良くないと硬くしようとしても出来にくいので、

その寿司屋さんのネタの鮮度は良かったんでしょうね」

と慰めてくれた・・・。

 

そんなアワビの思い出が頭を過ったのは、

目の前にアワビの酒蒸しが出されたからだ。

蒸す事によってアワビの身はこれでもか!というくらいに

柔らかくなり蒸すことで旨味が逃げ出さない。

出されたアワビの身の大きさからこのアワビが大きさが推定できる。

身に掛けられたタレと一味唐辛子

絶妙なアクセントとなって口一杯に広がっていく。