アワビ

産地と属性

ミミガイ科アワビ属の巻貝の一種。漢字では「鮑」と書く。
「クロアワビ」「メガイアワビ」「マダカアワビ」「エゾアワビ」「トコブシ」「ミミガイ」などがある。
日本近海では、クロアワビ、メガイアワビ、マダカアワビ、エゾアワビが、北海道から九州、四国にかけて生息している。旬は、クロアワビが春の終わりから夏にかけて、エゾアワビが秋から春と、種類によってさまざまである。
魚獲量は、岩手県、宮城県、長崎県、山口県、千葉県が多い。
日本では古くから高貴な品とされており、祝い事の贈答品に添える飾りの「のし」は、正式には「のしあわび」といい、昔はアワビを伸ばして添えていたことに由来する。また、日本だけでなく、中国料理や西洋料理にも高級食材として用いられる。
殻の内部からは真珠がとれ、殻そのものは工芸品などにも利用される。コリコリとした食感と淡白な味わいが特徴で、刺身でも、蒸しても焼いても素材のうまみや味わいは損なわれない。
山梨の郷土料理である、アワビをしょうゆを主とした調味液で煮た「煮貝」は有名。

栄養成分の働き

タウリンが豊富で、肝機能の向上や脂肪肝の予防、コレステロールの減少、疲労の回復、目の健康維持、視力の回復などをもたらし、心肺機能の強化や糖尿病の予防にも役立つ。
特有のうまみには、アルギニンやロイシン、グルタミン酸、タウリン、ベタイン、グリシンなど豊富なアミノ酸によるもので、とくにアルギニンが豊富に含まれ、免疫力を高めてくれ、筋肉の強化をうながしたり、成長ホルモンの分泌に働くなどの効果があるとされている。
ビタミンAを含み、眼精疲労の改善や夜盲症の予防にも効果が期待される。また、ビタミンB1、B2が多く、骨粗しょう症の予防や精神の安定、美肌作用、口内炎の予防に有効とされる。
関節や体内の水分の保持に働くコンドロイチンは、関節をスムーズに動かすようにうながすほか、みずみずしい肌の維持やアンチエイジングにも作用する。
日に干したものはカルシウムが倍増し、成長の促進、骨や歯の形成に働く。

栄養成分

ナトリウム、カリウム、リン、マグネシウム、ビタミンK、葉酸、ビタミンA、カルシウム、たんぱく質、ビタミンB1・B2、鉄、ナイアシン、亜鉛、アルギニン、など

注意点

タウリンは水に溶けるので、蒸し料理の際は、蒸し汁を捨てずに用いる。

ポイント

素材本来の味が強いので、特別な調理をしなくても、家庭で簡単に食べることができる。
活アワビを殻からスムーズに外すには、身に塩をふってから、たわしで汚れをとって殻と身をナイフで離し、身についているワタや肝を外す。肝は食べられるので、捨てずに利用する。
干しアワビは、煮込み料理やスープに利用するとよい。
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