ウメ・ウメボシ(梅・梅干し)

産地と属性

バラ科サクラ属の花木で、原産地は中国。日本に渡ってきたとされる時代には諸説あるが、奈良時代にはすでにアンズなどと同様に、菓子に加工してその実を食べていた。

現在の梅干しに近い形で食されるようになったのは平安時代のことで、当時の天皇が塩漬けにしたウメの実を薬として用いたという記録もある。その梅干しが一般に広まったのは鎌倉時代になってからで、戦におもむく武士が疲労回復や食欲増進のため、兵糧食として携帯したことがきっかけだと言われている。江戸時代には庶民の食卓にものぼるようになり、紫蘇漬けや砂糖漬けにした甘露梅など、色々な漬け方がこの時代に生まれた。

また、料理用語で使う「塩梅」(あんばい)とは、塩と塩漬けのウメからできる梅酢との組み合わせによって、料理がちょうど良い味加減になることを「良い塩梅」と言ったことからきている。

国産のウメとしてもっとも有名な種類は「南高梅」(なんこううめ)で、粒が大きく皮が薄く果肉が肉厚で柔らかいという特徴を持つ。和歌山を代表するウメであり、生産量も他の種類と比較して圧倒的に多い。ウメ全体の産地としては、国産の8割近くを占めている和歌山県を筆頭に、北海道と沖縄を除くすべての都府県で生産されている。

栄養成分の働き

ウメに含まれるクエン酸やリンゴ酸などの有機酸には疲労回復効果があり、特にクエン酸にはカルシウムや鉄の吸収を助ける働き(キレート作用)がある。

また、食欲を増進させる作用の他、代表的なアルカリ性食品として、酸性に傾きがちな現代の食生活を中和する働きもある。

加熱されたウメ(ジャムやエキス、梅干し煮など)には、ウメに含まれる糖とクエン酸が結合してムメフラールという成分が作られるが、このムメフラールには血流を改善し動脈硬化などの生活習慣病を予防する効果がある。

栄養成分

有機酸などの特徴的な成分以外にも、ウメは他の果物と比べてカリウムや鉄、ビタミンEを豊富に含んでいる。

カリウムはナトリウムと共に、細胞の浸透圧の維持調整を行うミネラルで、余分な塩分(ナトリウム)を体外に出す作用があることから、血圧を下げる代表的な栄養素。

鉄は、赤血球のヘモグロビンによって酸素の運搬役を担うため、鉄分不足による貧血などを防ぐ効果がある。

脂溶性ビタミンのひとつであるビタミンEは、高い抗酸化力を持つことが知られている。

注意点

未成熟の青梅には毒があるため「生のまま食べると危険」と昔から言われてきたが、これは種子に含まれるアグダリンという物質が体内で分解されることでシアン化水素(青酸)中毒となることに起因するが、それに至るには種子を大量に摂取することが必要であり、果肉の部分を普通に生食するだけでは、ほぼ危険性はない。

ただ、酢漬けの梅によるアレルギー症例もあるため、果物アレルギーの人は梅干しなどを食べる際には注意が必要となる。

ポイント

梅干しには、ある程度熟して黄色みを帯びてきたものか、完熟のものを使う。その際、青梅を追熟させたものではなく、木成りで熟した香りの良いものを選ぶこと。ただし、固めでカリッとした梅干しを作りたい場合は青梅を用いる。梅酒や梅ジャムを作る場合、通常は青梅を使うが、熟したものを使えば香りも良く早めに食すことができる。

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