バニラ

産地と属性

ラン科バニラ属の植物の実である「バニラ・ビーンズ」を原料とする香辛料。甘い香りが特徴的で、菓子などの香りづけに使われる。バニラ・ビーンズとは、本来的にはバニラの種子の意味だが、現代では種子を含んだ鞘(さや)を発酵・乾燥させる「キュアリング」と呼ばれる過程を経たものを指す。

原産地はメキシコまたは中央アメリカと言われているが、現在では世界中の熱帯地域で栽培されている。種類としては「タヒチアン・バニラ」と「バーボン(ブルボン)・バニラ」の2種があり、生産量の少ないタヒチアン・バニラの方が高級品とされている。近年は福岡や沖縄など国内でも栽培されるようになっているが、流通量はごく少量に留まっている。

バニラ・ビーンズは非常に高価なため、その成分を抽出して溶剤にとかしたものに「バニラ・エッセンス」と「バニラ・オイル」がある。バニラ・エッセンスは、バニラの香気成分をアルコールや水で抽出し、バニラ・オイルは香気成分をオイルで抽出したもので、両方とも天然の成分を用いたものと人工的な香料を用いたものがある。また、人工香料を使わず、酒類にバニラ・ビーンズを直接漬け込んで作られた「バニラ・エキストラクト」と呼ばれるバニラ・エッセンスもある。

栄養成分の働き

バニラ特有の風味や香りの主成分は「バニリン」という有機化合物で、脂肪細胞の肥大や増加を防ぐ効果があるといわれている。

また、「リナロール」や「フェランドレン」といった成分も含む。リナロールには、イライラや興奮といった神経系の過活動を抑制する鎮静効果があり、その香りには、ストレスや緊張をやわらげリラックスさせる働きがある。抗感染効果もあるとされている。一方、フェランドレンには強壮効果があるとされており、様々な体の機能を高める働きがある。

栄養成分

バニリン、フェランドレン、リナロールなど

注意点

バニラ・エッセンス/バニラ・オイルとも、製品によって香りの強さが異なるため、使用量には注意が必要。少しずつ香りを確認しながら加えていくこと。

ポイント

バニラ・エッセンス/バニラ・オイルを菓子などの香料として使う場合、それぞれの特性を知った上で使い分けると良い。

バニラ・エッセンスは、高温によってアルコールが揮発してしまうため、焼き菓子に使用すると香りが残りにくい。水分の多い生地向けの香料。

一方、バニラ・オイルは油性のため、バターなど油脂の多い生地になじみやすく、耐熱性が高いため焼き菓子に向いている。

タイトルとURLをコピーしました