魚素麺

食・彩・記

前菜の2品目に小鉢が出て来た。

カニの身が乗せてある。

その下には白い紐状のものが

タレ?汁?に浸っている。

良く見ると輪切りのオクラも存在している。

 

配膳してくれた女将とのやり取りが始まる。

「これは?・・・」

魚素麺です」

 

魚素麺は白身魚のすり身から出来る細長い形状にした練り製品、、

という事は知っている。

20年以上練り製品会社に勤めた身としては

知らぬワケにはいかない・・・。

 

「大将の手作り?」

「ええ、そうなんです。」

 

白身魚をおろしてその身をすり身にして

塩や砂糖・味醂などで下味付けて

それを穴を通して直接お湯へ投入して

茹で上げたのだろう、、、。

 

箸を運んで小鉢の底から軽く混ぜて

カニの身、オクラ、そして魚素麺を数本を

摘まみ、一気に口に運ぶ。

カニの強い存在感を真っ先に感じた後、

オクラの粘りと冷たい汁の旨みを纏った魚素麺が

存在を現してくる。

 

暑い夏の日の夕食・・・、

サッパリと冷たい前菜は、これから始まる

主菜達への期待を十分に膨らませてくれる。