魚素麺(うおそうめん)

産地と属性

タラ、グチ、イトヨリ、ハモなどの白身魚のすり身を素麺(そうめん)状にしたもの。

各地で作られているが、京都のものがもっとも有名。一説によれば、江戸時代にかまぼこ職人が遊び心から作り出したと言われており、冷やした出汁と独特の食感が暑い京都の夏にふさわしい風物詩となっている。京都の料亭や川床などで供される場合は、竹筒の底に穴を開けたものにハモのすり身を詰め込み、湯の中に作った渦に流すようにして棒で突き出す。これを冷やし、柚子やワサビを添えたつけ汁で素麺と同じようにして食す。

そのほか、懐石料理ではタイの身を使った「鯛そうめん」を椀種として用いることもある。

栄養成分とその働き

原材料は、白身魚の他に、葛粉などの澱粉、卵白、味醂、砂糖、食塩。

白身魚のすり身には良質なたんぱく質を豊富に含まれている。そのたんぱく質を構成している必須アミノ酸のバランスは理想形に近いため、体内での吸収や利用効率が良い。

魚肉に含まれている脂肪は、血中コレステロールを下げる働きがあり、脳の働きを良くすると言われているEPAやDHAを豊富に含んでいる。

また、カルシウムを多く含んでおり、骨や歯を作る成分になるだけでなく、動脈硬化を防ぐなどの働きもある。カルシウムが十分に摂取できていないと疲労が蓄積されたままになるため、その意味でも、ツルツルと食べやすい魚素麺は夏の食材として適している。

注意点

市販の魚素麵はすでに茹でてあるため、茹で直したりせずにそのまま盛り付けて食すこと。

なお、魚を煮た後の汁を使って素麺を食べる「魚素麺」「魚そうめん」という同名の料理もあるが、こちらは普通の素麺の食べ方の一種。「煮魚(にざかな)そうめん」と呼ぶ地方もある。

ポイント

家庭で素麺そのもの(しんじょ地)から作る際は、絞り袋と洋菓子のモンブラン用の口金を使うとよい。生地に梅や抹茶を練り込めば、彩り・風味ともに豊かな魚素麺になる。

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