豚肉

産地と属性

ブタの肉。「ポーク」ともいう。世界で最も多く食べられている食肉の一つ。
日本では、弥生時代の遺跡から骨が出土しており、古くから食用としてきたことがうかがえる。しかし、仏教伝来以後、肉食が禁じられたこともあり、一般に普及したのは明治維新以後とされる。
種類としては、大型の「ランドレース」と、一般に黒豚と呼ばれる「大ヨークシャー」、「雑種」がある。
「SPF豚」というものがあるが、これは無菌状態の部屋で帝王切開にて取り出した子どもを清潔な環境で育てた安全性の高い肉のこと。やわらかい肉質で、臭みがないのが特徴。
「ヒレ」「ロース」「肩ロース」「バラ」「モモ」「タン」「レバー」「足」など、ほとんどの部位が食用となる。骨はスープのだし汁をとる際に用いられ、脂を固めたラードは食用油脂として使われるなど、肉以外も用途はさまざま。 

栄養成分の働き

良質なたんぱく質が多く、細胞や皮ふ、髪、爪など、健康な体をつくる。また、このたんぱく質からつくられるポークペプチドには、コレステロール値を低下させ、肝臓の機能を活性化させる働きがある。
ビタミンB1が豊富に含まれており、含有量は牛肉の10倍で食品のなかでもトップクラス。糖質の代謝を促して体内の疲労をためない作用がある。また、精神を安定させ、ストレスを解消する働きも備える。脂肪には、ほかの肉類に比べてオレイン酸やリノール酸が多く含まれており、コレステロール値を低下させる働きをもち、動脈硬化の予防に有効。
ビタミンAを含み、成長の促進や美肌に役立つ。また、視覚機能の維持や粘膜を細菌から守る働きをもつ。ビタミンB2を含んでおり、皮ふや細胞の健康を維持する。
ビタミンEを含み、体内の脂質の参加を防ぎ、老化の防止につながる。
鉄分が含まれており、体内に酸素を運んで貧血の防止に有効。 

栄養成分(ヒレ)

たんぱく質、脂質、カリウム、リン、マグネシウム、カルシウム、鉄、ビタミンB1・A・B2・Eなど 

注意点

有鉤条虫という寄生虫によって食中毒を引き起こす可能性があるので、生食は絶対にしない。
牛肉より劣化が早く、薄切りのものは冷蔵庫で2~3日、かたまりのものでも4~5日の保存が限度。
含有されるビタミンB群は水溶性なので、豚汁やシチューなど、汁ごと食べる料理がよい。 

ポイント

とんかつにはロースやヒレ、モモ。煮込み料理にはバラが向く。
赤身の肉を選ぶポイントは、脂肪部が固めできれいな白色をしており、赤身と脂肪の境目がはっきりしているもの。ダイエット中の人は、脂肪の少ないヒレかモモを食べるとよい
タマネギやネギなどの臭い成分であるアリシンを含む食材と一緒にとると、よりビタミンB1が効果的に摂取できる。
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