ほうとう

食・彩・記

冬の寒い日は身体の芯から冷え込む。

そんな時に熱々のほうとうが有り難い。

真冬を思わせるような寒さの某日、昼食を摂ろうと蕎麦屋へ。

ほとんどの場合、蕎麦屋で注文するのはざる蕎麦か天盛り蕎麦・・・冷たい蕎麦だ。

掛け蕎麦などの熱い汁の蕎麦は、その食感が好きでは無いからほとんど注文し無い。

だが、この日の蕎麦屋では、身体が冷え切っていた事もあって

熱い蕎麦でも良いかな?と思ってメニューを見ると「ほうとう」を発見。

 

普段から蕎麦屋にうどんが存在しているのも一寸した違和感をもっているが、

「ほうとう」の存在も一寸違和感を感じた・・・。

でも熱い蕎麦よりは良いかも・・・と「ほうとう」を注文。

 

今までの人生で3回ほど「ほうとう」を口にした事があるが、

お店によって汁の味付けでその出来映えがずいぶん違うな・・・と感じてきた。

通常は味噌ベースの汁が基本だが、

我が人生における3回の「ほうとう」経験の中で1回だけ醤油ベースに出会った。

醤油好きの僕は迷わず注文したのだが、

美味しいという感動には至らなかった事を覚えている。

 

この日のお店では、汁の種類の選択肢は無かったので

「ほうとう」を注文してからじっと供されるのを待っていた。

出された「ほうとう」は熱々の鉄鍋で出てきた。

具材は山菜、ゴボウ椎茸小松菜三つ葉、蒲鉾・・・

それに追加トッピングの玉子

汁はどう見ても味噌ベース。

本当は醤油ベースが良いんだがなあ・・・と思いながら先ずは一口汁を口にする。

すると味噌の風味が先ずは口に広がり、

その後から出汁の奥深い旨味が味噌と重なり合っていく。

想像していた味噌の存在は大きくなく、

恐らく蕎麦汁と合わせた味噌ベースの汁だからだろう、、、

味噌が主役では無いのがなんとも言えぬ奥深い味わいを醸し出している。

 

一口味わった後からもう一口汁を口にする。

一口目と何ら変わらぬ深い味わいとともに身体が温まっていく。

旨い!という表現が、心の底から、身体の芯から湧き上がる。

麺にもしっかりと汁が絡み、一口毎に旨い!旨い!と心の中で叫びまくった。