カモミールティー

産地と属性

キク科の植物で、ジャーマンカモミール(一年草)と、ローマンカモミール(多年草)の2種類がある。
和名はカミツレ(加密列)。属名は子宮を意味するマトリカリアといい、かつて婦人病の改善に用いられたことに由来する。
原産地はヨーロッパ。独特の香りが好き嫌いを二分するが、すでに古代エジプトや古代ローマ時代に、鎮静薬や婦人病の薬として用いられていた。ドイツでは、「ムター(母)のハーブ(薬草)」と呼ばれる。
イギリスの童話『ピーターラビット』にも、ピーターがおなかをこわしたときに母ウサギがカモミールティーを飲ませる場面が登場する。日本には19世紀初頭にオランダから伝わり、鳥取や岡山などで栽培されるようになった。
現在は、不眠の改善に飲用されることが多い。

栄養成分の働き

アズレンは、キク科植物の精油成分で、炎症を抑える作用がある。
クミンアルデヒドも精油成分で、鎮静作用や抗炎症作用がある。
フラボノイドはポリフェノールの一種で、強い抗酸化作用があることから活性酸素を除去して生活習慣病などを予防する効果がある。
コリンは、血管を拡張させて血圧を下げるアセチルコリンという物質や、細胞膜を構成するレシチンを作るため、高血圧や動脈硬化を予防するといわれている。また、脳神経細胞の、記憶形成を助ける働きがある。

栄養成分

アズレン(精油)、クミンアルデヒド、フラボノイド、コリン、タンニン、脂肪酸、アミノ酸など

注意点

キク科アレルギーの人は、かゆみが出る可能性がある。
妊娠中の人は、多量に飲まないこと。
血液抗凝固剤(ワーファリン)を服用している人は、避けたほうがよい。カナダのマッギル大学医療センター(MUHC)は、ワーファリンを服用している人がカモミールを飲むと薬の作用が促進され、内出血を起こすおそれがあると報告している。

ポイント

就寝前に飲むのが最適。
沸騰したお湯を注いで3~5分蒸らし、淡い黄色になったら飲みごろ。
少し苦みがあるので、はちみつやミルクを入れると飲みやすい。
とくに、ミルクを加えてカモミール・ミルクティーにすると、高ぶった神経をカモミールが鎮めてリラックスさせ、ミルクに含まれる眠りを誘う物質であるトリプトファン(セラトニンというホルモンの原料となる)の相乗効果によって安眠しやすくなる。
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