産地と属性
牛の舌のこと。タンとは、英語で「舌」を意味するtongue(タング)を語源とする和製英語。ちなみに豚の舌は「豚タン(トンタン)」と呼ばれる。
1頭の牛から取れる牛タンは、数10センチほどの長さがあるが、重量は1.5kgほど。
古来から世界中で食されており、ブロックのまま茹でたり煮込んだりするほか、薄切り肉は焼き肉にするなど、色々な調理法で使われてきた。また国内では、新鮮なものは刺身として提供されることもある。
「牛タン焼き」は仙台の名物として有名だが、その始まりは戦後のこと。米軍の駐留により、牛肉が大量に輸入されるなかで、佐野啓四郎(「太助」初代店主)という和食の料理人が、日本人の味覚に合った食べ方として考案。高度経済成長期、仙台に出張したサラリーマンがその味を知り、全国に広まった。
栄養成分の働き
焼肉用のカルビなどと比較して、低カロリーでヘルシーな部位とよく言われるが、脂質も多いためそれなりにカロリーは高い。
ただし、サーロインなどの赤身肉にくらべ、糖質をエネルギーに変える栄養素であるビタミンB1が約2.5倍、動脈硬化や脳卒中を予防するビタミンB12が約10倍含まれているため、総じて基礎代謝の向上が期待できる。
また、タウリンを豊富に含んでいるため、肝機能を高め、コレステロール値を下げ動脈硬化を予防するなど、生活習慣病の予防にも役立つ。
栄養成分
脂質、たんぱく質、カリウム、リン、マグネシウム、カルシウム、鉄、ビタミンB1・B2・B6・B12、ナイアシン、ビタミンEなど
注意点
家庭で冷凍の牛タンを解凍して食す場合、刺身や半生は食中毒のリスクがあるため、加熱して食べること。
ポイント
タウリンは水に溶けだしやすい性質があるため、焼いた方が損失は少ない。蒸しタンやタンシチューなどにする場合は、煮汁も一緒に食べるようにすれば、栄養分を無駄なく摂ることができる。