パン

産地と属性

小麦やライ麦などの穀物粉に水、酵母、塩などを加えて作った生地を発酵・膨張させ、焼いて作られる。世界の多くの地域で主食になっている。

その歴史は古く、今から8,000年ほど前の古代メソポタミアではすでに小麦粉を練って焼いたものが食べられており、これがパンの原型と言われている。発酵させた生地を使ったパンが作られるようになったのは古代エジプトで、盛んにパン作りがされていた証に、給料や税金の代わりに使われることもあった。

日本には、戦国時代、種子島に漂着したポルトガルの宣教師によって鉄砲とともに伝えられた。しかしながら、その後国内でパンが広まることはなく、幕末に保存性と携帯性の良さから兵糧として注目されるまでは忘れられた存在となっていた。明治維新後は、開国の影響もあって横浜のホテルなどでパンが供されるようになり、港町を中心にパン作りが広がった。1869年、現存するパン屋でもっとも古い「木村屋総本店」が銀座に開業。日本独特の「あんパン」が発売されたことにより、一般庶民からも人気を得るようになった。第二次大戦後、食生活の洋風化が進むなかでパンは主食として定着し、近年は家庭における消費支出でコメを抜く状況となっている。

<各国の代表的なパン>

・フランス

「バケット」や「バタール」などのシンプルなフランスパンは“パン・トラディショネル”と呼ばれる。朝食によく食されるのは「クロワッサン」だが、、レーズンとカスタードクリームを巻き込んだ菓子パンの「パン・オ・レザン」も有名。他に、「ブリオッシュ」や田舎パンの「パン・ド・カンパーニュ」なども。

・イタリア

イタリア語で“サンドイッチ”を意味する「パニーニ」は、具材をはさんで食べるためのパン。切り分けてそのまま食べるのが「フォカッチャ」で、ピザの原型とも言われている。他に、ヘルシーさで近年人気の「チャバッタ」やおつまみとして出される「グリッシーニ」なども。

・ドイツ

ラテン語の「腕」を意味する言葉から生まれた「ブレッツェル」が有名。他に「~ブロート」と名がつくライ麦を混ぜた茶色のパンが種類も多いが、小麦のみで作った白い「ヴァイスブロート」もある。

・イギリス

伝統的な「イングリッシュマフィン」はトーストすることを前提にして作られたパン。一方「スコーン」は発酵させずに作られたもので、アフタヌーンティーによく供される。有名なイギリス(食)パンは、現地では「ホワイトブレッド」と呼ばれている。

・アメリカ

ヘルシーさで人気の「ベーグル」、モチモチした食感は生地を茹でることで生まれる。挟むものの形状によって作られたホットドッグやハンバーガー専用の「バンズ」も有名。また、この国の「マフィン」は砂糖や卵、チョコチップなどを混ぜて焼く菓子パン。

・日本

世界各国のパンが手軽に食べられるほどパン文化が広まっているが、「あんパン」や「カレーパン」、「メロンパン」など独自に創作されたものも多い。ちなみに「角食パン」も日本独自の呼び方で、容器の上にふたをすることで四角く焼き上がるためにその名がついたと言われている。

・その他の国のパン

ロシアの「ピロシキ」やオーストリアの「カイザーゼンメル」などが有名。また、中国の「饅頭(マントウ)」や「焼餅(シャオビン)」、インドの「ナン」もパンの一種と言えよう。

栄養成分とその働き

炭水化物(糖質)やたんぱく質のほか、ビタミンB1・ビタミンB2などのビタミン類、カルシウム・鉄などのミネラルを含む。「ごはん」や「めん類」などとくらべて栄養成分は多いが、カロリーも高めのため注意が必要。特に揚げパンや甘い菓子パンは、高カロリーのものが多いため、ダイエット中の場合は避けること。

ただ、一般的にパンはカルシウム源となる牛乳・乳製品やたんぱく源となる肉・魚類とも相性がよいため、いろいろな食品と一緒に食べることで、栄養バランスのよい食事実現につながる。

注意点

小麦粉に水を加え練ることによってできるグルテンはアレルギー源であり、小麦アレルギーやグルテン不耐性の人には深刻な症状をもたらす。グルテンを気にする場合は、米粉パンなどのグルテンフリー食品を摂ること。(但し、米粉100%でない米粉パンもあるため、表示には注意すること)

ポイント

パン専門店のみならず、スーパーやコンビニなどでも様々なパンを購入することができるため、調理用・食事用・おやつ用など目的に合わせて使い分けたい。また購入する際は、アレルギーの心配がある人は「アレルギー表示」を見ることはもちろん、原材料名や栄養成分表示、賞味期限・消費期限などの表示もよく確かめたい。

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