アイスクリーム

産地と属性

牛乳などの乳製品を主原料とし、空気を混入させながら撹拌してクリーム状になったものを凍結させて作られる。
古代ギリシャやローマ、中国やアラブなどでは、古くから甘い氷菓が食べられていたが、当時はシャーベット状のものだったと考えられている。18世紀初頭になると、パリの「カフェ・プロコープ」という店でホイップクリームを凍らせた「グラス・ア・ラ・シャンティ」や卵を使った「フロマージュ・グラス」などが生み出されたが、これらが現在のアイスクリームの原型となっている。また同じ頃、アメリカでもアイスクリームが食べられるようになり、1851年、ボルチモアの牛乳屋だったヤコブ・フッセルが余ったクリームの処理に困って、アイスクリームを生産・販売を始めたことから一気に広まった。
日本人で最初にアイスクリームを食べたのは、幕末に使節団としてアメリカに渡った幕府の一行だったと言われている。その後、使節団のメンバーであった町田房蔵が、1869年(明治2年)に横浜の馬車道通りで塩と氷を使って製造・販売した「あいすくりん」が、日本での最初に作られたアイスクリームと言われている。

アイスクリームの材料には、乳製品・糖分・油脂・安定剤・乳化剤・香料などが使われるが、それらの配合などによって日本では規格が決められている。「アイスクリーム類」として分類されるものは、下記の通り。

アイスクリーム
乳固形分が15%以上、うち乳脂肪分8%以上のもので、乳脂肪以外の食用油脂の添加は、チョコレート・卵黄・フレーバー原料に含まれている分を除いて認められていない。

アイスミルク
乳固形分が10%以上、うち乳脂肪分3%以上のもので、乳固形分・乳脂肪分の割合はアイスクリームよりいずれも低く、乳脂肪以外の食用油脂の添加が認められている(禁止されていない)。

ラクトアイス
乳固形分が3%以上のもの。乳固形分がアイスミルクよりさらに少なく、乳脂肪分は含まれていなくてもよい。植物系油脂を加えて脂肪分を補っている製品も多く、カロリーがアイスクリームやアイスミルクより高いものもある。

上記以外で、液体を凍らせるなどして作られるものに「氷菓」がある。原材料に乳製品を使用しているシャーベットやアイスキャンディーなども、乳固形分や乳脂肪分の比率によっては氷菓に分類される場合もある。
また、ソフトクリームやジェラートなどは、製法や材料などの違いによる呼び名であり、成分によってアイスミルクや氷菓などに分けられる。

栄養成分の働き

種類(分類)や含まれる成分によって異なるが、基本的には下記の通り。
消化の良い良質なたんぱく質は、筋肉や血液を作るもとになる。
乳脂肪は、消化吸収が優れており、乳成分に含まれる乳糖は、鉄やカルシウムの吸収を促進する。
カルシウムは骨を作るもとであり、日本人には不足しがちな栄養素のひとつ。
皮膚や粘膜の健康維持を助けるビタミンA、脂質の代謝を助け、皮膚や粘膜・髪・爪などの細胞の再生に役立つビタミンB2など、成長期に欠かせないビタミン類も豊富に含んでいる。

栄養成分

たんぱく質、脂質、炭水化物、カルシウム、ビタミンA・B2など

注意点

賞味期限が表示されていないアイスクリーム類だが、保存するときは、冷凍庫で-18℃以下にすること。ただし、家庭の冷凍庫は扉の開け閉めが多いため、庫内の温度変化も大きくなりがち。その状態で長く保管すると氷の結晶が大きくなりザラついた食感になるため、あまり長期の保管は避けること。

ポイント

出されてから時間が経っても形が崩れない「とけにくいアイス」(アイスミルク)といった製品もある。多人数に同時にサーブしなければならない時などに使うとよい。
日本アイスクリーム協会の調査によれば、「アイスクリームがおいしく感じられる気温」は25℃ぐらいと答えた人が最も多く、全体の53%を占めている。暑い季節には食べたくなるデザートだが、一定のカロリーとともに糖分も含まれているため、ダイエット中の人は摂り過ぎないように注意が必要。

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