豆腐

産地と属性

東アジアから東南アジアの広い地域で古くから食されている大豆加工食品で、煮てすり潰した大豆の搾り汁(豆乳)に、にがりなどの凝固剤を加え固めて作られる。

中国において紀元前2世紀の前漢時代に発明されたとされ、日本には奈良時代に遣唐使によってもたらされたとする説が有力となっている。鎌倉時代の末期頃には民間に伝わり、室町時代には日本各地で食されるようになった。特に江戸時代は、「豆腐百珍」という料理本が出されるほど盛んに食べられるようになるが、この時代の豆腐は今日の木綿豆腐のみであった。

発酵食品でもないにもかかわらず名前に「腐」の文字がつくのは、発祥地の中国で「腐」は「液状のものが寄り集まって固形状になった柔らかいもの」、「液体でもなく固体でもない様なもの」を指すことから。

現代日本で食される豆腐は大きく数種に分類されるが、含まれる栄養成分もすこしずつ異なるため、種類を含め下記を参照のこと。

<木綿豆腐>

豆乳に凝固剤を加え、木綿豆腐用の型箱に布を敷いて流し込み、圧搾・成形して作られる。表面に布目がつくためこの名になった。脱水と成型という過程を経るため、水溶性ビタミンの含有量は大きく減少するが、たんぱく質、カルシウム、鉄などが多い。特にカルシウムは絹ごし豆腐より多く含む。

また、工程中、型箱に入れる前の寄せた状態のものを器に盛る「寄せ豆腐」は、木綿豆腐とは異なった食感・風味がある。

<絹ごし豆腐>

木綿豆腐よりも濃い豆乳と凝固剤を使い、絹ごし用の型箱に流し込んでゲル状に固めて作られる。水分を抜かないため、ビタミンB1など水溶性ビタミンが残ったままになり、マグネシウムも多く含まれる。代謝の促進には木綿より絹が優れている。

<ソフト豆腐>

絹ごし豆腐のように凝固させたものを、木綿豆腐の型箱に流し込んで軽く圧して作られる。木綿豆腐と絹ごし豆腐の中間程度の濃度の豆腐。柔らかいがコシもあり、なめらかな感触が得られるという特徴がある。

<充填豆腐>

絹ごし豆腐同様の濃い豆乳に凝固剤を加えて合成樹脂製の角型の容器に入れ、加熱して作られる。加熱で凝固させるため、衛生的で長期保存が可能で、品質が均質なため輸送にも優れている。葉酸(ビタミンB9)の含有量は他の種類の豆腐の約2倍になる。

<高野豆腐>

「氷豆腐」「凍り豆腐」(こおりどうふ)または「凍み豆腐」(しみどうふ)とも呼ばれる、凍結と解凍を繰り返して水分を抜き、乾燥状態にした豆腐。豆腐の栄養成分が凝縮されており、カルシウムやリンなどミネラルが特に豊富で、ビタミンEやタンパク質も多い。

栄養成分の働き

豆腐のたんぱく質は、血液中のコレステロールを低下させるだけでなく、その成分の一つであるペプチドは血圧上昇を抑制する作用があるといわれている。レシチンは、血管に付着したコレステロールを溶かし血流の流れを良くするため、動脈硬化を防ぐとともに、脳を活性化させ、記憶力や集中力を高めるなど脳の老化を予防する効果がある。サポニンには、活性酸素の働きを抑制する、腸を刺激し便通をよくする、血栓を予防するなど、成人病や老化防止などに効果があるとされている。大豆にもっとも多く含まれるイソフラボンは、骨粗しょう症など女性ホルモンの減少によって起こる諸症状に効果が期待されている。

栄養成分

たんぱく質、脂質、カルシウム、ビタミンE、ビタミンB1、ビタミンB2、レシチン、サポニン、イソフラボンなど。

注意点

「玉子豆腐」「ごま豆腐」「くるみ豆腐」「杏仁豆腐」など、食感が似ているため「豆腐」と名はついているが、大豆やにがりを使用していないものも多い。

ポイント

豆腐と一緒にパックに水が入っているものは「水入り豆腐」と呼ばれているが、賞味期限・消費期限は短いものが多く、期限を守って早めに食す方が良い。特に消費期限を過ぎてしまったものは、深刻な健康被害につながる恐れもあるため食さないようにすること。一方、「充填豆腐」は賞味期限・消費期限が長いものが多いため、買い置きをするのなら「充填豆腐」にしておく方が良い。

また、どちらも保存は冷蔵庫を用い、開封後はすみやかに食すこと。

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