ドレッシング

産地と属性

ドレッシングの語源は「着せる」や「飾る」を意味するdress(ドレス)からきており、「サラダにまとわせるドレス」といった感覚で使うようになったからだと考えられている。ちなみにサラダの語源は「塩」を意味するsal(サル)であり、ギリシア時代に野草に塩をかけて食べたことが始まりとされている。

古代ローマの時代には、すでにオイルと酢を組み合わせたフレンチ・ドレッシングのような調味料があり、その後、時を経るとともにヨーロッパの料理人によって様々なドレッシングが研究・開発されていくことになる。

日本で初めてドレッシング(フレンチ・ドレッシング)が発売されたのは1958年(昭和33年)で、生野菜といえば「キャベツの千切り」のように「つけあわせ」としてのみ食されていた時代のことだった。ちなみにマヨネーズが発売されたのは、それよりかなりさかのぼる1925年(大正14年)のこと。戦後の高度経済成長期になって、このドレッシングの発売をきっかけに、サラダは手軽な料理として普通の家庭の食卓にのぼるようになったのである。

さらに、1986年(昭和61年)には、ヘルシー志向の商品としてノンオイル・ドレッシングが登場。その年に理研が発売した「生海草サラダ」に付けた「ノンオイル・ドレッシング青じそ」の評判が良く、スーパーや消費者からの要望に応える形で、ドレッシングのみを単体として売るようになったということである。

主なドレッシングの種類と特徴

<フレンチ・ドレッシング>

油、酢(柑橘果汁)に胡椒を加えて仕上げた、さっぱりとした風味が特徴的。生野菜サラダの他、マリネなどにも使う。

<イタリアン・ドレッシング>

フレンチ・ドレッシングに似ているが、ワインビネガーで風味をつけたり、タマネギやニンニクなどの香辛料などが入っているのが特徴。生野菜だけでなく、ハムやベーコンなどを加えたミックスサラダにも適する。

<サウザンアイランド・ドレッシング>

マヨネーズをベースに、細かく刻んだピクルスやトマトケチャップを加えた、ピンク色のマイルドなドレッシング。マヨネーズと同じように様々な料理に使うことができる。

<シーザーサラダ・ドレッシング>

チーズにアンチョビ、ガーリックの風味が特徴的な乳化液状のドレッシング。レタス・ほうれん草など、生の葉物野菜に適する。

<ノンオイル・ドレッシング>

醤油等と醸造酢をベースにし、脂質を3%以下に押さえたライトタイプのものが多い。和風味の物は、海藻類や豆腐などの和食にも適する。

<ランチ(Ranch)ドレッシング>

アメリカ合衆国において、販売数が最も多いドレッシングといわれている。材料はバターミルクやサワークリーム、ヨーグルト、マヨネーズなどにみじん切りにしたエシャロットやガーリックパウダーをはじめとするの調味料や香辛料。ディップソースとしても使われる。

栄養成分とその働き

通常ドレッシングに使用されている油はいわゆるサラダ油=食用植物油だが、この植物油に含まれる必須脂肪酸には、血清コレステロール値を低下させる働きがある。

また、ドレッシングに使われている醸造酢は、腸内を弱酸性にするため油の分解をしやすくし、脂肪の吸収を助ける働きがある。さらに、酢に含まれるクエン酸や酢酸は、体内の老廃物をとり除く手助けをし、疲労回復を早める。

最近の研究では、サラダ野菜に少量のオイルをかけると、野菜に含まれているリコピンやビタミンK・ビタミンA・ビタミンEなど、8種類もの栄養素が効率よく吸収されるようになることがわかってきている。

ポイント

一般的にドレッシングとは「食用植物油脂と食酢又はかんきつ類の果汁を主原材料(必須原材料)として、食塩、砂糖類、香辛料等を加えて調製し」たものと定義され、その内にはマヨネーズなどの「半固体状ドレッシング」,油と水分が混ざった状態で一定の粘度がある「乳化液状ドレッシング」、油と水分が分離した「分離液状ドレッシング」の3種に分けられている。

その他、ノンオイル・ドレッシングに代表される「ドレッシングタイプ調味料」と加工油脂等を使用した「サラダ用調味料」があるが、これらは「ドレッシング類」であり、正確にはドレッシングと呼ぶことはできない。

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