アケビ

産地と属性

アケビ科のつる性落葉低木の一種で、アケビ属に属する植物の総称。
各地の山野に自生し、漢字では「通草」と書く。
山形県が全国生産量の大半を占め、石川県、愛媛県、長野県でも栽培している。
別の植物に巻きついて成長し、雌雄同株だが、それぞれ異なった花を4~5月に咲かせる。9~10月に熟し、果実は紫色で6~10cmの卵形か長い楕円形になる。実が縦に裂けるように割れ、半透明でゼリー状の果肉と黒い多数の種が見える。果肉は甘みをもつため、山遊びをする子どものおやつ代わりとして親しまれてきた。
仲間に、別名「トキワアケビ」があり、実が熟しても割れないのが特徴。
つるは丈夫で弾力性があり、ざるやかご、椅子、家の生垣などで活用され、信州の郷土玩具「鳩車(はとぐるま)」にも使われている。

栄養成分の働き

果実にはビタミンC、利尿作用のあるアケビンやカリウムが含まれ、乾燥した実や酒は、腎臓炎、膀胱炎に効果があるといわれている。
つるの部分を輪切りにして干して乾かしたものを、漢方薬では「木通(もくつう)」として用いる。アケビアサポニンやカリウム塩などが含まれており、煎じて飲むと、利尿作用のほか、鎮痛・消炎作用や、腎臓炎、膀胱炎、むくみに効果があるといわれる。

栄養成分

カリウム、ビタミンC、アケビン、食物繊維、葉酸など

注意点

中国には煎薬として用いられる「関木通(かんもくつう)」があり、これには腎臓障害を起こすおそれのあるアリストロキア酸が含まれているので、国外での利用は注意する。

ポイント

果皮が割れたものは1日程度しか日もちせず、傷つきやすいのでていねいに扱う。
皮は、肉詰めや炒め物、天ぷら、素揚げなどに。
新芽は山菜として食べられる。苦みが強いので、ゆでたら冷水に半日~1日つけておくと、ほどよく苦味がぬける。あえ物やおひたし、酢の物、汁物の具として利用できる。
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