ホルモン

産地と属性

ホルモン料理におけるホルモンとは、牛・豚・鶏など食用動物の内臓のことで、臓物(ぞうもつ)からモツと呼ばれることもある。

その語源は、医学用語であるドイツ語のHormon(ホルモン,英語のhormone)より、動物体内の組織や器官の活動を調節する生理的物質の総称から、栄養豊富な内臓を食べると活力がつくとして名付けられた説が最も有力である。関西圏で「捨てるもの」を意味する「放るもん」を語源とする説もあるが、スタミナがつく食べ物として西洋医学の影響を受けた明治維新後からさまざまな内臓が食べられるようになったこともあり、今では俗説とされている。

牛のホルモンは、量も多く脂がのっている部位が多いため、焼肉を中心として食されているが、「モツ鍋」や「モツ煮込み」としても利用されている。また、「ホルモン焼き」と呼ばれる料理は、胃や腸の部位を用いることが多い。ホルモンの用語を牛・豚の胃や腸の部位だけをさすものとし、モツとは区別する場合もあるが、その多くはこれらの料理名からきている。

豚のホルモンは串焼きにして供される「焼きトン」が代表的で、居酒屋で「焼き鳥」ではなく「やきとり」と表示されている串焼きは豚の部位であることも多い。

鶏のホルモンは、通常はモツと呼ばれることが多く、「焼き鳥」の具として用いられるほか、「鳥もつ煮」などが代表的な料理となっている。

栄養成分の働き

<主な牛ホルモンの場合>

マルチョウ/シマチョウ:マルチョウは牛の小腸のことで、別名コプチャンやコテッチャン、ヒモやシロなどとも呼ばれる。シマチョウは大腸のことで、別名テッチャンやそのままホルモンと呼ばれることもある。両方ともビタミンB群を多く含むが、なかでも豊富なビタミンB12には貧血の予防などに効果がある。マルチョウの方が脂質が多いため、カロリーは高い。

レバー:高たんぱくで低脂質、鉄分などのミネラルが多いことは良く知られているが、ビタミン類も豊富なため、“栄養の宝庫”といわれている。ビタミンAは、抗酸化作用に優れ、免疫力を高める働きがあり、ビタミンB2は、細胞の再生を促して、動脈硬化を防ぐ働きがある。

タン(牛タン):ビタミンB2とナイアシンが、牛肉の他の部位とくらべ含有量が多く、しかもカロリーはカルビ肉などの半分。疲労回復にも効果のあるタウリンも豊富に含まれている。

注意点

牛のレバーにはO-157などの腸管出血性大腸菌が存在する場合があるため、生食は避ける。

また、豚肉やその内臓にはE型肝炎ウイルスが存在することがあり、十分に加熱調理する必要がある。

牛や鶏にはカンピロバクターなどの食中毒を発生する菌が存在する場合があるため、加熱調理することが望ましい。

ポイント

多人数でホルモン焼きを楽しむ場合、肉類の扱いにはトングを用い、良く火を通してから食べること。新鮮だからという理由で牛レバーなどを生食することは極力避ける。

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