リコリス

産地と属性

マメ科の多年草。日本名を甘草(かんぞう)という。
原産地はアジア、南東ヨーロッパ。旬は春と秋の2回。秋物が良品といわれる。
スパイスとしては、根茎部を乾燥させ、粉末にして用いられる。
文字どおり甘いのが特徴で、砂糖が輸入される以前の日本では、貴重な甘味料として使用されていた。蔗糖(しょとう)の30~50倍の甘さがある。
古くから生薬として、せき止めなどの薬用に利用されてきた。
世界最古の薬学書といわれる、中国の『神農本草経』の上品(じょうほん)にも収載されている。
古代エジプトやギリシャ、ローマなどでも用いられていた記録があり、洋の東西を問わず親しまれてきた、最もよく使われる生薬である。
日本でも奈良時代に、唐の文化の一つとして伝わり、正倉院にも保存されている。
風邪の初期症状に処方される「葛根湯(かっこんとう)」など、多くの漢方薬に配合されている。
一般には、肉料理の甘みづけ、みそ、しょうゆ、つくだ煮、漬物、キャンディなどの菓子類、タバコや飲料水の風味づけに利用されるほか、ハーブティーとしても飲用されている。
現在、一般の家庭ではほとんど使われていない。

栄養成分の働き

甘みの主成分であるグリチルリチンには、肝機能を強化する働きや解毒作用、胃腸の粘膜を保護し、胃潰瘍(かいよう)などの症状の改善、動脈硬化の予防作用、炎症やかゆみを抑える抗アレルギー作用などが認められている。風邪薬との併用で効果があるのは、解熱や鎮咳(ちんがい)、たんを切る作用によるもの。
サポニンには消化器管からの脂肪の吸収を抑える働きがあり、血中コレステロール濃度を低下させる作用がある。
グラブラポリフェノールは脂肪の再合成を抑えて分解し、内臓脂肪を減らす働きがある。

栄養成分

グリチルリチン、サポニン、グラブラポリフェノールなど

注意点

過剰摂取による副作用として、頭痛、嘔吐(おうと)、高血圧症などが示唆されているため、長期間の摂取や多量摂取はしないこと。
とくに、妊娠中や授乳中の女性や、高血圧、慢性疾患のある人は使用を避ける。
とりすぎると下痢を起こすこともある。

ポイント

一般にはリコリスティーなどが出回っているが、使用する前には注意点を確認し、安全に使うこと。
常飲を避ける。
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