カブ

産地と属性

アブラナ科アブラナ属の越年草。カブラ、カブナ、カブラナ、スズナ(鈴菜、菘)などと呼び名も多い。漢字では「蕪」と書く。原産地は、アフガニスタン付近の中央アジアか、地中海沿岸といわれている。
日本最古の野菜の一つで、『日本書記』にも記載されている。長い栽培の歴史の中で各地の気候や風土に合うように変異し、さまざまな品種が生まれた。現在、約80種ともいわれている。
日本のカブには東洋型と西洋型があり、岐阜県の関ヶ原付近を境に分布が分かれる。西日本のものは東洋型で、葉や茎に毛があり、葉は立ち性。東日本のものは西洋型で、ツルツルしているのが特徴。
春の七草に登場する「すずな」は、カブのこと。旬は3~5月、10~12月の2回。
おもな種類として、小カブ、天王寺カブ、聖護院カブなどがある。

栄養成分の働き

根の部分には、ビタミンCやカリウムが多く、消化酵素のジアスターゼやアミラーゼが含まれている。ビタミンCは、コラーゲンの合成を助け、免疫力を高める作用がある。カリウムは、ナトリウムとともに細胞内の浸透圧を維持する働きをしており、高血圧を防ぐ効果がある。ジアスターゼはでんぷんやグリコーゲンを分解し、アミラーゼはたんぱく質を分解する酵素で、胃もたれや胸やけに効果がある。昔から胃腸を温め、冷えからくる腹痛をやわらげる消化薬としても利用されてきた。
葉の部分には、ビタミンCのほかにビタミンB1やB2、ビタミンK、カルシウム、鉄、カロテンが豊富に含まれている。ビタミンB1は糖質の代謝に必要な成分で、疲労を回復させる効果がある。ビタミンB2は、タンパク質や脂質、糖質の代謝にかかわっているほか、過酸化脂質を分解・消去するのに役立つ。ビタミンKは、カルシウムが骨に沈着するのを助けるたんぱく質を合成するときに欠かせない成分で、骨粗しょう症を予防する。また、血液を凝固させる物質の合成を助けているので、不足すると出血が止まりにくくなる。カルシウムは骨や歯をつくるほか、神経伝達物質をコントロールして精神の安定をもたらす。鉄は赤血球の構成成分で、貧血の予防に効果がある。カロテンは緑色の色素で、強い抗酸化作用をもち、生活習慣病やがんの予防に効果がある。

栄養成分

ビタミンC、ビタミンB1・B2、ビタミンK、カロテン、カルシウム、鉄、ジアスターゼなど

注意点

葉から水分が蒸発し、根の部分にスが入りやすいので、保存するときは葉を落とす。
葉と根の部分は別々にし、葉はぬれた新聞紙に包み、根はビニール袋に入れて保存する。葉は2~3日、根は1週間くらいもつ。

ポイント

色が白く、ツヤのあるものを選ぶ。
持ったときに重量感のあるものが、水分がつまっていて良品。
葉つきのものは、葉の緑色が鮮やかで、みずみずしいものを選ぶ。
小カブは、あまり大きいものは育ちすぎのため、鶏卵くらいの大きさのものを選ぶとよい。
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