カマス

産地と属性

スズキ目サバ亜目カマス科。漢字表記では、「魳」、「大和叺」、「大和梭子魚」などと書く。
江戸時代には機織(はたお)りの、緯糸(よこいと)を巻いて収めた平らな舟型の緯糸を通す道具、梭(き)に形が似ているところから、「梭魚」、「梭子魚(さしぎょ)」とも呼ばれた。
南方系の海水魚で、熱帯・温帯の海に幅広く分布する。日本では関東以南の沿岸部全域にみられ、赤カマスはことに南日本に多い。また、台湾から南シナ海、アフリカ、オーストラリアやポリネシア、ハワイなどに幅広く分布。沿岸域に生息していて、サンゴ礁や岩礁の周囲で群れをつくり、活発に泳ぎまわる。
旬は秋。肉は白身で淡白だが、生では柔らかく水っぽいため、刺身で食べられることはあまりない。ほとんどが干物、塩焼き、から揚げなどに加工・調理される。
貪欲にエサを食べて成長するため、大きさにより料理法も変わる。小さいものは丸干し、20cm以上は開き干し、25cm前後は姿寿司、30cm前後の脂ののったものは塩焼きや煮つけ、40cm前後のものは刺身によい。

栄養成分の働き

ビタミンDは、カルシウムを骨に定着させ、丈夫にする働きがある。

栄養成分

たんぱく質、脂肪、ビタミンD、ミネラルなど

注意点

大きいもののほうが脂がのって身もしまり、おいしい。また、同じ長さなら太っているものを選ぶとよい。ただし、大型は輸入物が多くなってきている。

ポイント

料理法は、薄造りの刺身、塩焼き、天ぷら、フライ、から揚げ、酒蒸しやホイル焼きなどの蒸し物、煮物などが向いており、万能魚といえる。
塩焼きのコツは、重さの3~4%のふり塩にして30分ほど冷蔵庫に入れるか、3%ぐらいの食塩水に30分ほどつけておく。こうすると、塩に触れている間にたんぱく質が凝固して身がしまり、たんぱく質からグルタミン酸やアスパラギン酸が遊離して旨味成分がふえる。
また、脂肪含有量は5%と秋に出回る魚としては大変少ないが、たんぱく質の凝固にともなって身肉中に脂肪が抱きかかえられるため、あたかも脂があるような食感となる。
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