すいとん(水団)

産地と属性

小麦粉に水を加えて練り、団子状にしたもの。汁に入れ煮て食すのが一般的で、丸めた団子ではなく適当な大きさにちぎって入れるところもある。また、この汁(すいとん汁)を「すいとん」と呼ぶ場合もあり、地方によって「ひっつみ」「はっと」「つめり」「とってなげ」「とっちゃなげ」「おだんす」「ひんのべ」「だご汁」といった料理名がある。汁に入れる具材や出汁、味付けなどに各地域ならではの特徴がある。

南北朝時代の書物に「水団」の文字が登場したのが始まりといわれているが、当時の中国から伝来した「点心」の一種を意味したのではないかとする説もある。現在のような形になったのは江戸時代後期で、その後戦前まで一般庶民の味として親しまれ、屋台や専門店もあった。

戦時中から戦後にかけて、米の代用食として食されてきたが、物資不足が進み小麦粉も不足するような状況の中では、大豆やトウモロコシの粉でつくられることもあった。この時代を忘れないために、終戦記念日にすいとんを食べる催しが各地で行われている。

栄養成分の働き

通常使われることの多い小麦粉は「薄力粉」だが、栄養バランスを考えて「全粒粉」を使うこともある。(小麦の栄養成分に関してはこちらを参照のこと)

小麦粉に多く含まれるヨウ素は、甲状腺ホルモンの原料として成長やエネルギー代謝に重要な役割を果たし、モリブデンは糖質や脂質の代謝を助ける役割がある。

栄養成分

たんぱく質、脂質、炭水化物、食物繊維、ビタミンA・E・K、ビタミンB1・B2・B12・B16、ナイアシン、ビタミンC・E、ナトリウム、カルシウム、カリウム、鉄、リン、ヨウ素、モリブデンなど

注意点

小麦は3大アレルゲンのひとつ。小麦アレルギーの人は摂取を控えること。

すいとん自体の糖質は高くないが、具材にニンジンやレンコンなどの根菜類を使用する場合、野菜の中でも糖質が高いため、糖質制限をしている人は注意すること。また、里芋などの芋類も高糖質のため注意が必要。

ポイント

原料となる小麦粉の栄養は炭水化物に偏っているため、汁に加える具材で栄養バランスを取ることが好ましい。緑黄色野菜のニンジンやカボチャなどからはβカロテンが、キノコ類からはビタミン類やミネラル類が摂れる。ただ、それだけではたんぱく質が不足するため、肉類を加えると良い。

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