桑の実

産地と属性

クワ科クワ属の総称。桑の木は落葉性の高木。原産地は、中国北部から朝鮮半島といわれ、日本に渡来したのは3世紀ごろ、朝鮮や中国からカイコとともに伝えられたと推定されている。本格的に栽培されるようになったのは、江戸末期から。古くからカイコのエサとして重要な作物で、果樹としても利用された。戦後、化学繊維の発達とともに養蚕業が衰退し、桑畑は減少した。
桑の実は、花が集まってできた小さな果実。このような形の果実を集合果といい、姿はイチゴに似ている。実は初夏に熟す。熟すと赤黒くなり、甘くなる。英語では「マルベリー」と呼ばれる。独特したときの色は、日本ではドドメ色、ラテン語ではモルスと呼ばれる。
約1800年前の中国で成立したとされる『神農本草経(しんのうほんぞうきょう)』という書物には桑の葉の薬効が書かれ、古くから生薬(しょうやく)として用いられてきた。漢方では桑椹(そうじん)といい、血液をきれいにしたり不老長寿の効能があるともいわれている。
現在は、実にも美容や健康に効果がある成分を含んでいるとわかってきたので、その収穫のために世界中で栽培されている。
おもに、ジャムや果実酒を作るのに用いられる。市販されている乾燥させた実を使い、ゼリーなどの菓子や肉料理のソースづくりをしてもおいしいが、そのまま食べてもよい。 

栄養成分の働き

骨や歯の健康に役立つカルシウム、貧血などによい鉄分、余分な水分を排出するカリウムといったミネラルをバランスよく含む。ビタミン類も豊富で、なかでもビタミンCは美肌づくりや風邪の予防に効果的。ポリフェノールには、脳代謝機能の活性化、動脈硬化を予防、糖尿病の改善、抗炎症作用、抗ウイルス作用があるとされる。 

栄養成分

カルシウム、鉄分、カリウム、マグネシウム、亜鉛、ビタミンB1・B2、C、ポリフェノールなど 

注意点

ガの体毛が抜け落ちて付着していることがあるので、実のまま食べるときは十分に水洗いをする。
生の実は、長期の保存に向かない。 

ポイント

ジャムなどにして、直射日光、高温多湿を避けた冷暗所、または冷蔵庫で保存する。
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