コチ

産地と属性

カサゴ目コチ科コチ属に属し、ほかのコチと区別するために、「マゴチ」もしくは「ホンゴチ」と呼ぶことが多い。そのほか、ヨゴチ、イソゴチ、シラゴチ、シロゴチなどの地方名がある。
上から押しつぶしたように平たく、細長い形をしているのが特徴の白身魚。
神官が持つ「杓(しゃく)、こつ」に形が似ていることから、「コチ」と名づけられたといわれる。また、骨がかたいので、「こつ(骨)」がなまって「こち」になったという説もある。
コチの仲間にはコチ科、ウバゴチ科、アカゴチ科、ヒメキチジ科、ハリゴチ科の5群があり、日本近海で獲れるのは約15種。コチ科には、メゴチ、イネゴチ、ワニゴチ、トカゲゴチなどがあり、食用として利用されるものが多い。またコチ属にはマゴチのほか、ヨシノゴチがある。ヨシノゴチはマゴチとよく似ているが、体が白っぽく、背中に小さな褐色の斑点が多数ある。また目がやや大きく、口がとがっているのが特徴。
太平洋からインド洋までと広い領域に分布しており、日本では千葉県や新潟県より南で獲られる。
全長は40㎝ほどで、成熟したオスとして繁殖に参加したあとメスに性が転換して再び繁殖に参加する雄性先熟(ゆうせいせんじゅく)という生殖機能をもつ。
夏が旬の、高級食材として扱われている。弾力のある肉質で甘みがあり、くせがないたんぱくな味わいからフグと比較され、「夏の薄づくりの王様」と呼ばれる。
旬の時期には、薄づくりやあらい、冬には天ぷら、鍋、塩焼き、煮つけにして食される。
高たんぱく、低脂肪、低コレステロール、低カロリーのことから、夏バテの予防に効果的な食材である。 

栄養成分の働き

筋肉や内臓、皮ふ、髪の毛、爪、血液、骨などをつくる大切な栄養素である良質のたんぱく質を多く含んでいる。
ビタミンB6は、たんぱく質の代謝を助け、アレルギー症状の改善や皮ふの健康を保つ働きをしている。
ナイアシンは、糖質と脂質の代謝に働くビタミンB群の一種で、肌荒れや口内炎など、皮ふのトラブルを改善する働きをしている。
リンは、カルシウムとともに骨や歯をつくる働きのほか、ナイアシンの吸収を助けたり、エネルギーの貯蔵、体液の浸透圧を調整するなど、さまざまな役割を担っている。不足すると、筋力の低下や疲れやすさ、集中力の低下を招く。
カリウムは、ナトリウムとともに細胞内の浸透圧を維持する働きをしており、体内の余分な塩分を排出し、血圧を安定させる作用がある。 

栄養成分

たんぱく質、ビタミンB6、ナイアシン、リン、カリウムなど 

注意点

頭部に鋭いとげがあるので、不用意に手を触れるとケガをする。 

ポイント

年間を通して入手は可能だが、かなり高価。
必ず雌雄一対でいるので、一方を釣り上げると、もう一方も追いかけるように針にかかることが多いという。
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