ナス(茄子)

産地と属性

ナス科ナス属の植物で、ナスビと呼ばれることもある。原産地はインドで、日本には奈良時代以前に伝わったといわれている。名前の由来には諸説があり、実の味が元となった「中酸実(なかすみ)」の略であるとする説、夏に実がなるため「夏実(なつみ)」と言っていたのが訛って「なすび」(奈須比)と呼ばれるようになったとする説などがある

日本で栽培されているナスは「茄子紺(なすこん)」と呼ばれる濃い紫色のものが一般的だが、世界(特にアジア圏)には白や緑色、黄や赤色など、さまざまな色のものがある。形も40cmもある細長いものから、ウズラの卵くらいの小型のもの、カボチャを小さくしたような巾着型のものなど多種多様である。国内で栽培されているものだけで約70種、世界には1000種ものナスがあるといわれている。

ハウス栽培されているため1年中出回っているが、旬は夏と秋。夏のナスは暑さに対抗するため、皮が若干厚めになるのに対し、秋のナスは全体に小ぶりになるものの実も皮も柔らかく、味もうま味を増す。

「秋茄子は嫁に食わすな」ということわざは、通常、夏を越して栽培されるナスは秋になると再び実つきが良くなり美味しくなるため、嫁にはもったいないとする「姑の嫁いびり」説が一般的だが、その一方でナスには身体を冷やす作用があるため、「(妊娠の可能性がある)嫁にはあまり食べさせない方が良い」とのう姑の思いやりから来ているという説もある。

栄養成分の働き

水分を多く含むナスは身体を冷やす作用があり、特に暑い時期の「のぼせ」や「ほてり」の解消に役立つ。

カリウムはトマトやキュウリと同程度にあり、夏バテに効果的だといわれるのは、アスパラギン酸も含んでいるため。カリウムは、体内のナトリウムの排出を助ける栄養素で、細胞内の水分バランスを適切に保ち、余分なナトリウムを尿として排出するため、高血圧防止にも役立つ。アスパラギン酸は、疲労物質である乳酸をエネルギーに変える手助けをするため、疲労回復に効果がある物質。

ナスの紫色の皮に含まれるフラボノイドには抗がん作用があり、同じく皮に含まれるナスニンとシソニンという成分は老化防止に役立つ。

栄養成分

他の野菜と比べて栄養素は少ないが、食物繊維の他、カリウムやβ-カロテンなどのビタミン類、葉酸などを含んでいる。

特徴的な成分としては、ナスニンと呼ばれるポリフェノールの一種を皮の紫紺色に含んでいる。ナスニンはアントシアン系の色素で、強い抗酸化力があり、ガンや生活習慣病のもとになる活性酸素を抑える力が強い。また、コレステロールの吸収を抑える作用もあるほか、目の網膜にあるロドプシンの再結合に働きかけ、眼精疲労の回復にも役立つ。

注意点

冷蔵庫で保存すると、茶色に変色したり、縮んだりするので注意が必要。ナスを保存する適温は7~10℃のため、冷蔵庫で保存する場合は、袋や新聞紙などで包んで冷やしすぎないようにすること。

ポイント

ヘタの切り口が新しくトゲがとがっているものが新鮮で、果皮に弾力があり傷がなくツヤのあるもの、色が濃いものを選ぶと良い。

色々な調理法が可能だが、油で炒めると皮に含まれるナスニンの損失を減らすことができ、吸収率も高まる。また、ぬか漬けにするとビタミンB1やカリウムが約2倍に増えることが知られている。

タイトルとURLをコピーしました