ジビエ

産地と属性

「ジビエ」(gibier)とはフランス語で、狩猟によって得た野生鳥獣の食肉を意味する。

旬は、野生の鳥獣が冬に備えて体に栄養を蓄える秋だが、日本では11月15日から狩猟が解禁され翌年2月15日まで続くため、その時期がジビエのシーズンとなる。近年は、田畑や森林を荒らす害獣対策もあって、イノシシやシカなどを使ったジビエ料理が静かなブームとなっている。

ちなみに、我が国では古くから猪肉のことを「ボタン」、鹿肉のことを「モミジ」と呼んできた。宗教上「四つ足」の肉食を禁じてきた時代における隠語で、またモミジは百人一首の歌にも由来するといわれている。

<日本で、主に食されるジビエ>

  • 鳥類:マガモ,キジなど
  • 獣類:イノシシ,シカなど

本場のフランスでは、鳥類としてヤマウズラやライチョウ、獣類として野ウサギやアライグマなども食される

栄養成分の働き

ここでは、イノシシ(猪肉)とシカ(鹿肉)について記す。(マガモについては「カモ(鴨肉)」を参照のこと)

イノシシ肉は、栄養成分としては豚肉に近いが、豚肉とくらべおよそ4倍の鉄分と、3倍のビタミンB12を含んでいる。また、アンチエイジングに効果があるとされている不飽和脂肪酸を多く含んでいる。

シカ肉は、牛肉とくらべ高たんぱくである一方、脂質は約6分の1、エネルギーは半分以下というヘルシーな食材。鉄分も牛肉の2倍で、鹿肉に含まれるヘム鉄と呼ばれる鉄分は人間の身体に吸収されやすく、貧血や冷え性を予防する働きがある。

栄養成分

イノシシ肉:たんぱく質、脂質、鉄、亜鉛、ナイアシン、ビタミンB1・B2・B6・B12など

シカ肉:たんぱく質、脂質、鉄、銅、亜鉛、ナイアシン、ビタミンB1・B2・B6・B12など

注意点

寄生虫による感染や腸管出血性大腸菌、E型肝炎などによる食中毒リスクがあるため、必ず加熱して食すること。肉の中心温度が75度以上になるようにして1分以上加熱をすれば、感染は予防できるとされている。

自宅でジビエを調理する場合は、必ず食肉処理業の許可を受けた施設から仕入れること。また、調理や加工に使った調理器具は、使用するごとに83度以上の熱湯か200ppm以上の次亜鉛素酸ナトリウム、またはそれと同等の効果のある方法で殺菌を行うこと。

ポイント

ジビエの加工品(ハム、ソーセージやカレーなど)を自宅で使用する場合は、原料のシカ肉やイノシシ肉が食肉処理業の許可を受けた施設で処理されたものかどうか、加工は食肉製品製造業などの営業許可を受けた施設でされたものかどうかを確認すること。

タイトルとURLをコピーしました