砂糖

産地と属性

最も流通している白砂糖は、国産の場合、主にサトウキビもしくはテンサイ(サトウダイコン)を原料とする。

種類としては、大きく含蜜糖と分蜜糖に分けられ、黒砂糖や和三盆、メープルシュガー(メープルシロップ)などに代表される含蜜糖は、その名の通り糖蜜を分離していないため原料本来の風味が残っているのが特徴である。一方、分蜜糖は糖蜜を分離して糖分だけを精製したもので、白砂糖の他、グラニュー糖や氷砂糖などがそれにあたる。

紀元前4世紀にはインドでサトウキビが栽培されていたという記録があり、その後、中国やエジプトなどへ砂糖の作り方とともに広まっていく。アメリカ大陸へはコロンブスがサトウキビ栽培を伝えたと言われており、16世紀には世界の重要な貿易物資となる。一方、ヨーロッパではサトウキビ栽培が難しかったため、テンサイを材料とした砂糖が作られるようになった。日本には、奈良時代に鑑真が中国から持ち帰って伝えたとされているが、当時は貴重な薬として扱われていた。戦国時代になると南蛮貿易によって持ち込まれるようになり、江戸時代には輸入量が拡大するとともに、国内でもサトウキビが栽培されるようになるが、一般庶民が口にできるようになったのは、近代的な製糖技術が輸入された明治期以降となる。

国内の産地は、テンサイを栽培する北海道と、サトウキビを栽培する鹿児島県や沖縄県に分かれており、産出量比率はテンサイ約80%:サトウキビ約20%となっている。

栄養成分とその働き

砂糖の主成分はショ糖で、主に小腸においてブドウ糖と果糖に分解される。ブドウ糖は、血糖として血液を移送し、各組織に取り込まれてエネルギー源となる。多くの体内組織では、エネルギー源としてブドウ糖以外に脂質やたんぱく質も利用されるが、脳はブドウ糖が主なエネルギー源であり、常に補給する必要性がある。ブドウ糖は、穀類や芋類などに含まれるでん粉からも得られるが、消化過程が多いため、エネルギー供給に時間を要する。一方砂糖は、消化過程が少なくてすむため、速効性がある効率の良いエネルギー供給源となる。

白砂糖などの精製糖にくらべ、黒砂糖や和三盆などの含蜜糖にはミネラル分を含んでいるが、カロリー的には大差がない。

注意点

砂糖はカロリー・糖質ともに高いため、料理などで大量に使うのは避けるとともに、市販の菓子類や飲料にも使われていることを理解して、大量摂取につながる食生活は控えること。

ポイント

砂糖を調理に使うことで、下記のような様々な効果が期待できる。目的に応じて使い分けると良い。

①タンパク質の熱凝固抑制効果により、卵焼きやプリンが柔らかく仕上がる。

②乾燥防止効果により、焼き菓子などの乾燥を防ぐ。

③ペクチンをゲル化させる効果により、ジャムなどを日持ちさせる。

④デンプンの老化を抑制する効果により、菓子を柔らかく保つ。

⑤油脂の酸化を抑制する効果により、肉などの臭みを抑える。

⑥イースト菌の発酵を促進させて、パンなどをふっくらとさせる。

⑦熱した際のアミノ酸とのメイラード反応によって、よい焼き色や香ばしいにおいを与える。

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