シーアスパラガス

産地と属性

和名では「厚岸草(アッケシソウ)」と呼ばれるシーアスパラガスは、ヒユ科の1年草でヨーロッパからアジア、北アメリカなどの寒帯地域に広く分布している。海辺の塩性湿地に自生する塩生植物で、秋になると茎や枝が紅サンゴを思わせる紅紫色になることから、「サンゴソウ」や「ヤチサンゴ」とも呼ばれている。

国内では、1891(明治24)年に、北海道の厚岸湖の牡蠣島で初めて発見されたため、厚岸草(アッケシソウ)と名付けられた。その後、宮城県、愛媛県、香川県の塩田跡地で生育が確認されたが、塩田跡地が再開発されるなどの理由によってアッケシソウ群落は消滅の一途をたどり、現在では絶滅危惧種に指定されている。

国内ではほとんど栽培されていないため、ヨーロッパやイスラエル、ハワイなどで栽培されたものが輸入されている。名称は各国で異なるが、英語でサムファイアー(Samphire)、フランス語ではパスピエール(Passe Pierre)、オランダ語ではゼークラル(Zeekraal)などと呼ばれている。

柔らかい新芽の葉と茎を食すため、収穫は春から夏までで、出回るのは4月頃から9月頃までとなる。塩味があるため、そのまま生でも食べられるが、茹でて食す場合が多い。

栄養成分の働き

海水に含まれているミネラル分を含んでいるため、塩気は感じられるが、塩分値自体は高くない。

豊富な食物繊維とマグネシウムは、腸の機能を正常化し、便秘などの解消に役立つ。

優れたミネラルバランスと適度な塩分によって、水分補給を効率的に行うことができるため、熱中症の予防にも効果を発揮する。

栄養成分

ナトリウム、カルシウム、リボフラビン、ヨウ素、マグネシウム、銅、ビタミンA、ビタミンB2・B6・B9、ビタミンC、鉄、カリウム、食物繊維など

注意点

新芽は成長するにしたがって太く硬くなるため、太いものが多く入っているものは避けたほうが良い。また、古くなると黄色くなってくるため、緑が鮮やかなものを選ぶこと。

ポイント

塩味が強いため、さっと茹でた後に冷水にさらすなどして塩味の調整をすると良い。またドレッシングなどをかける際も、塩味があることを考えて味付けや量の調整をすること。

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