ウツボ

産地と属性

ウナギ目ウツボ科に属する海水魚の総称。名前の由来は、矢を入れる容器の「靫(うつぼ)」(または「空穂」)に似ているからという説が有力。

比較的暖かい海のサンゴ礁や岩礁に生息する。国内では、島根から九州にかけての日本海と東シナ海、千葉から九州南部の太平洋の他、瀬戸内海や屋久島・奄美大島などで獲れる。

体長は1m前後のものが多いが、大きなものは4m近くになる大型の肉食魚。大きな口には鋭い歯があり、岩穴から急に出てきて嚙みつくなどのどう猛さがあるため、ダイバーからは「海のギャング」と呼ばれて嫌われている。

食する地域はある程度限定されており、開き干しにする千葉県南房総のほか、伊豆半島、紀伊半島、徳島県、高知県、長崎県五島列島などで食べられている。調理方法は、刺身やたたきにする他、煮つけや汁物、唐揚げなど。旨みが強く、通は好んで食べるが、小骨が多いためその処理に手間がかかる。

中国では南シナ海側でよく食されているが、地中海沿岸などでも食されている。ローマ帝国時代、カエサル(シーザー)が凱旋帰国した際に、6,000匹ものウツボを市民に振舞ったという話もあり、現代のイタリア料理でも良く食べられる食材のひとつとなっている。

栄養成分の働き

皮にはゼラチン質の天然コラーゲンが含まれており、アルギニンなど体内で作ることができない必須アミノ酸などが多く含まれている。また、必須脂肪酸であるDHA・EPAも含まれている。貧血予防効果にもなる鉄分も含んでいるため、女性にもおすすめ。

栄養成分

たんぱく質、脂質、炭水化物、ビタミン類、ナトリウム、カルシウム、鉄など

注意点

磯釣りの際に釣れることがあるが、不用意に触ると噛みつかれることもあるため、注意を要する。また、潮溜まりに潜んでいることもあるため、磯遊びなどで見かけたら注意すること。

ポイント

家庭向きの食材ではないが、鮮度は比較的長くもつ。一匹まるごと入手する場合は、身のしっかり硬いもの、目が澄んでいるものを選ぶと良い。

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