産地と属性
もともとは油で揚げた食物全般の意味であったが、現在は薄く切った豆腐を油で揚げたものを指す。
由来については、室町時代の僧侶が肉の代用品として作ったという説と、南蛮貿易でポルトガルから長崎に伝わったてんぷら種のひとつだったという説がある。一般庶民に広まったのは江戸時代で、当時は古い油を繰り返し使って揚げていたこともあり、調理する前にはしっかりと油抜きをする必要があった。
製法は基本的に豆腐と同じだが、油揚げ用の豆腐は豆乳を薄めにし、できた豆腐を薄く切って水を絞ってから油で揚げる。その際、まず低温の油で揚げて脱水しながら膨らませ、次に高温の油で揚げることで表面がからっとしたスポンジ状に仕上げる。ちなみに「厚揚げ」は、内部に豆腐の状態が残っている点で油揚げとは区別される。
三角形のものや大判でふっくらしたものなど、地域で特徴的な油揚げも存在する。また、一部地域では「厚揚げ」のことを油揚げと言い、通常の油揚げは「薄揚げ」などと呼ぶところもある。
栄養成分の働き
基本的に豆腐と同じ栄養成分を持つが、揚げてあるためにたんぱく質や脂質が増え、カロリーは豆腐よりも高い。一般的な木綿豆腐100gあたりのカロリーは80kcal程度だが、油揚げは100gで398kcalと5倍近くになる。カロリーを少しでも減らしたい場合は、湯通しをするなどして油抜きをすること。
栄養成分
たんぱく質、脂質、カルシウム、リン、ナトリウム、ビタミンE、ビタミンB1、ビタミンB2、レシチン、サポニン、イソフラボンなど。
注意点
油揚げは冷蔵保存しても、賞味期限は3〜4日程度。日が経つにつれて油が酸化してくるため、早めに食すこと。すぐに使用しない場合は、冷凍しても食感がそれほど変わらないため、冷凍保存にすると良い。解凍方法は、冷蔵庫で自然解凍する他、煮物などには凍ったままでも使用できる。
ポイント
調理の前に油抜きをすれば、味を染み込みやすくするという効果の他、油の酸化による臭みを取り除くこともできる。ただし、料理にコクを出したい場合やカリッと焼きたい場合などは、油ぬきせずにそのまま使用しても良い。冷凍した油揚げに熱湯を回しかければ、油抜きしながら解凍することもできる。