産地と属性
MCTとは“Medium Chain Triglyceride(=中鎖脂肪酸)”の頭文字で、「MCTオイル」とは中鎖脂肪酸100%の油のこと。原料はパームオイルやココナッツオイルなどで、それらから中鎖脂肪酸を抽出し、オイルの状態にしたもの。
中鎖脂肪酸は、分子の鎖の長さが短いことが特徴で、キャノーラ油やラードなど長鎖脂肪酸が主成分の油の約半分の長さになる。分子の鎖の長さが短いことで、一般的な油とくらべて分解・消化・吸収スピードが速く、エネルギー変換速度が約4倍といわれている。これは、中鎖脂肪酸が水になじみやすく、摂取すると糖などと共に直接肝臓へ運ばれてエネルギーとなるためで、摂取後全身に運ばれ、筋肉や脂肪組織、肝臓などにいったん貯蔵される長期脂肪酸との違いがある。
この特徴を生かして、これまで医療現場や介護現場などで使われてきたが、近年は糖質制限ダイエット時の栄養補給などに活用されるなど、広く注目を集めている。
栄養成分の働き
脂質をすばやくエネルギーに変えるMCTオイルは、脂質をエネルギーとして利用しやすい体質づくりに効果があるといわれている。エネルギー源として脂質が多く利用されるようになると、糖質からのエネルギーが温存されるため、運動時などの持久力を向上させることにつながる。
また、糖質制限や低栄養などで、体内の糖質が枯渇した時に糖質に代わるエネルギー源となる「ケトン体」の生成を促す作用があるため、老化が原因のエネルギー不足や、脳細胞へのエネルギー補給にも効果がある。
栄養成分
脂質
注意点
消化吸収が早いMCTオイルだが、慣れていない人が一度に大量摂取すると、下痢や腹痛、吐き気を引き起こす場合があるため、摂取量には注意をすること。
ポイント
無味無臭のMCTオイルは、コーヒーやココアなどのドリンクに加えてコクを出すという使い方が一般的だが、サラダ用ドレッシングに使うのはもとより、料理そのものにかけたり、みそ汁やスープに入れる方法もある。まずは、毎食時にスプーン1杯を加えることから始めると良い。