牛すじ

産地と属性

一般的には肉牛のアキレス腱を指すが、肉を切り分けた時に出る筋(スジ)を細かくしたものや、「メンブレン」と呼ばれるハラミ(横隔膜)の外側の膜状の部分をはがしたものなどを含むことがある。

アキレス腱は、大部分がスジで脂身は少なく、スジ肉では最も美味な部位といわれている。一方、牛肉の処理途中で出るスジには肉や脂身がついたものが多く、スーパーなどで売られているものはこれが多い。メンブレンは白いリボン状で、串などに刺しておでん種にされる。

いずれも特有の臭いがあり硬い部分もあるが、適切な下処理をして長時間煮込むことでやわらかくなり、うま味が増す。

「どて焼き」や「どて煮」などの料理においてホルモンと一緒に使われる場合もあるため、ホルモンと混同されることがあるが、厳密には別の部位となる。

栄養成分とその働き

カロリーが高いように思われがちだが、サーロインやバラ肉など他の牛肉にくらべ低カロリーな部位。脂のように見える白い部分の多くはたんぱく質の一種のコラーゲンであり、高たんぱくで低脂質な食材といえる。

コラーゲンは動物の皮膚や骨、腱などの結合組織に多く含まれるが、分子が大きいため、そのままでは吸収されず、胃や腸で単体のアミノ酸やペプチドの形に分解される。それらが血液によって全身に送られて細胞を活性化させ、コラーゲンの合成を促進する機能があるといわれている。

ビタミンB12やビタミンKも豊富に含む。ビタミンB12は、赤血球中のヘモグロビンの生成を助ける働きをもつ水溶性ビタミンの一種。ビタミンKはカルシウムと同様に骨などに作用し、骨を丈夫にする働きのほか、血液凝固因子を活性化させ、出血を止める働きもある。

注意点

一般的にスーパーなどで売られている牛すじは、各部位を下処理したときに取り除かれた筋などが集められてパック詰めされていることが多い。国産牛、輸入牛、和牛などの種別が記載されていることがあり、牛の品種ごとに集められているものの方が、調理する際に味などのバランスがとりやすい。特にすじに肉がついているものとついていないものがあるため、どう料理するかによって種類を選ぶこと。

ポイント

包丁で切れないような硬い牛すじは、先に下茹でし、アクや脂を落としながら、やわらかくなった頃合いを見て少しずつ切り分けていくと良い。アクが多く出る場合は、湯をこまめに変え、鍋などもきれいに洗うこと。ネギやショウガなどと一緒に煮込むと臭みが取れやすい。

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