アンコウ

産地と属性

アンコウアンコウ科に属する魚。漢字表記は「鮟鱇」。
アンコウ科には25種ほどが含まれ、すべてが海水魚で、おもに深海に生棲する。北極海、太平洋、インド洋、大西洋、地中海に分布する。頭部が著しく大きく、幅が広い。旬は、肝が肥大化していちばんおいしい時期とされる11月から2月。
また、アンコウには、「七つ道具」と呼ばれる部分がある。

●トモ(ヒレ):あんこうの両腕にあたる部分。ここのつけ根が食感もよくおいしい。
●カワ(皮):コラーゲンたっぷりで味もよく、好まれる部位。肝をすりつぶして酢みそをあえたものをかける「とも酢」が代表的な一品料理。
●えら:普通、魚においてはエラは食べないが、アンコウでは食べられる部位とされてる。
●キモ(肝):別名アン肝。アンコウ料理全体をおいしくしてくれる代表的な部位で、「海のフォアグラ」とも呼ばれる。
●水袋(胃袋):胃袋には特徴があり、入り口に歯のようなものが上に2か所、下に2か所ある。この歯のようなもので噛み砕くわけではないが、丸呑みにした魚が逃げられないように「返し」になっている。
●ヌノ(卵巣):平板状のためにそう呼ばれる。
●台身:アンコウの身の部分。白身で淡白。
ほかにもホホ肉(柳肉)やトモ(尾の部分)、背骨の周りも出汁になり、基本的にあんこうは顔(歯や目)そして骨以外のすべての部位が食べられるとされる。柳肉やトモを七つ道具と呼ぶ地域もある。

栄養成分の働き

基本的に水分が占めていて、全体の約80%に及ぶ。白身の部分は、脂質が少なくヘルシー。アンコウの身にはビタミンB12やB1、ナイアシンなどが含まれ、皮ふや粘膜の健康維持、貧血予防によいとされる。
あん肝は、脂質が多く高カロリーで、ビタミンA(レチノール)やビタミンB12、ビタミンDが豊富に含まれている。肌の健康を維持したり、老化防止、視覚の暗順応によいとされている。

栄養成分

ビタミンA・D・B12・B1、ナイアシンなど

注意点

身が柔らかく、体がぬめっているため、まな板の上ではさばきにくい。
下くちびるにもりを引っ掛け、つるした状態でさばくことを、「つるし切り」といい、ヒレ、皮、内臓、身の順にさばいていくと、最後には口のまわりと背骨だけになる。

ポイント

アン肝は高価な食材。濃厚で、チーズあるいはサケのハラミのような甘みとクセをもつ。
そのほかの調理方法としては、どぶ汁、刺身、から揚げなどがある。
タイトルとURLをコピーしました