アンチョビ(塩漬けイワシ)

産地と属性

ニシン目カタクチイワシ科の小魚を塩漬けにした発酵食品。
アンチョビ」は英語で、イタリアでは「アッチューガ」、フランスでは「アンショワ」といい、これはイワシの総称であるが、日本ではおもに加工品名をさす。
加工品は、紀元前8世紀ごろに開花した古代ギリシャ時代から作られている。現在、おもな産地はギリシャ、イタリア、フランス、スペイン、ポルトガルなどの地中海や沿岸の国々、大西洋に面した国でも作られる。戦後、日本でも各地で作っていたが、現在は希少である。
カタクチイワシは、青魚で腹部は銀色である。口が大きく、目の後ろまであるのが特徴。地中海、黒海、大西洋、太平洋、ペルー沖の海中に群れをなして生息する。
作り方は、新鮮なカタクチイワシを塩に仮漬けし、その後、頭と内臓を取り除いて、再び樽(たる)で8か月以上の長期間にわたって塩蔵する。

栄養成分の働き

脂質は多く、これは不飽和脂肪酸という体に必要なDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)にあたる。DHAは脳神経の組織を活性化させ、血圧の低下に有効。EPAは、血栓を溶かして血管を広げるため、脳卒中や高血圧、動脈硬化などの予防につながる。
カルシウムと、その吸収を促すビタミンDが豊富で、丈夫な骨や歯を形成し、骨粗しょう症の予防にも役立つ。また、カリウム、リン、マグネシウムなどのミネラル類を多く含み、健康な細胞や血圧の維持、エネルギー生成の補助をする。
ビタミンAが多く、成長の促進や肌の健康維持に働き、のどや鼻などの粘膜を細菌から守る。また、ビタミン類に属するナイアシンも含み、エネルギーの生成には不可欠な成分で、皮ふや粘膜を健康に保つ。
アミノ酸の一種であるタウリンが、血圧を正常に保つ。

栄養成分

たんぱく質、脂質(DHA・EPA)、カリウム、リン、カルシウム、マグネシウム、ナイアシン、葉酸、ビタミンA(レチノール)、ビタミンB12、ビタミンDなど

注意点

塩分が多いので、使用量は控える。
過熱するときは、臭みが出やすく焦げやすいので仕上げの直前に入れる。

ポイント

パスタやピザのトッピングにも相性がよく、調味料はニンニク、オリーブオイル、塩、こしょうを合わせるだけでも、十分おいしく仕上がる。
タイトルとURLをコピーしました