オールスパイス

産地と属性

フトモモ科ピメント属の常緑樹。日本名を百味胡椒(ひゃくみこしょう)、中国名を三香子(サンシャンズ)という。
原産地は中南米。
未熟な果実を乾燥させ、香辛料として用いられる。ヨーロッパでは高価だったシナモン、クローブ、ナツメグの香りをもつことから、「オールスパイス」と名づけられた。
16世紀後半に、スペインの探検家フランシスコ・フェルナンデスによってジャマイカ諸島で発見され、ヨーロッパに広がった。当時はペッパー(pepper)=こしょうの一種と誤解され、ペッパーの実を意味する「ピメンタ」と名づけられた。
強い抗菌・殺菌作用があり、古くから防腐剤として用いられており、正式な発見以前には、南米のマヤ族が王の遺体を保存するのに使用していたとも伝えられている。
スパイスとしての歴史は浅い。
市販品には、果実を乾燥させたホールタイプと、パウダータイプがある。
ホールタイプはシチューやスープ、ソース、ケチャップ、マリネなどに用いられ、パウダータイプは肉料理やドーナツ、クッキーなどの菓子にも使用される。
産地では、精油を食欲増進や神経痛、リウマチの治療に用いるほか、薬品の香りづけに使用された。
男性用の香水やポプリ、アロマオイルなど、香りを楽しむものとしても用いられることが多い。

栄養成分の働き

60~80%を占めるオイゲノールは、精油に含まれる香気成分で、抗菌・殺菌作用のほかに、鎮痛作用や抗酸化作用がある。
シネオールも香気成分で、胆汁の分泌を促す作用があることから、消化を促進する働きがある。

栄養成分

オイゲノール、シネオールなど

注意点

好き嫌いが強く出る香りのため、慣れるまでは使用量を控えたほうがよい。
妊娠中や授乳中の女性は、とりすぎに気をつける。

ポイント

シナモン、クローブ、ナツメグと合わせて使用すると、それぞれの香りが弱まり、使いやすくなる。
ひき肉料理や、焼き菓子の生地に練り込むなど、下味をつけるときに使うと料理に深みが出る。
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