鶏肉(トリニク)

産地と属性

キジ科ニワトリの肉。牛、豚、羊と並んで、世界で最も食用される肉の一つ。
紀元前3000年ごろには、インドで飼育されていた記録が残っている。日本には、弥生時代に中国から朝鮮半島経由で伝えられた。奈良時代から一部で飼育が始まり、明治以降に普及した。
ブロイラー:大きな鶏舎において、過密な状態で育成される鶏。
銘柄鶏:通常のブロイラー飼育法に工夫を加えて育てられた鶏。
地鶏:一定期間を放し飼いで育てられた鶏に分けられる。
「名古屋コーチン」(愛知県)、「比内地鶏」(秋田県)、「薩摩地鶏」(鹿児島)は、日本三大地鶏といわれる。肉や内臓を除いたほとんど骨の状態を「鶏がら」と呼び、中国料理や西洋料理、ラーメンのだしなどに使われる。中部地方や関西地方、九州地方では「かしわ」とも呼ばれる。 

栄養成分の働き

たんぱく質と脂質がおもな成分を占める。
たんぱく質は、メチオニンなどの必須アミノ酸を含み、肝臓機能の活性化に働く。脂質は、不飽和脂肪酸のオレイン酸やリノール酸が多いので、牛や豚よりコレステロールの心配が少ない。
ビタミンAは、発育を促進したり、肌の健康を維持したり、暗いところでも目が慣れて見えるようになる機能(視覚の暗順応)にかかわったり、のどや鼻などの粘膜に働いて細菌から体を守ったりなど、たくさんの重要な役割を持っている。
ビタミンB群も多く、とくにナイアシンが豊富で、体内のエネルギー生成を助ける。また、ビタミンB1・B2も含まれているので、皮ふや粘膜の健康維持に有効である。
手羽先や骨つきのもも肉の骨まわりには、コラーゲンが多く含まれ、細胞に栄養分や酵素を運び、新陳代謝を促す。これは、美肌にもつながる。 

栄養成分

(胸肉皮つきの場合)
たんぱく質、脂質、カリウム、リン、マグネシウム、カルシウム、ビタミンA・B1・B2など 

注意点

ささみの部分が刺身やたたきなどで食されることがあるが、新鮮なものでもカンピロバクターによる食中毒を引き起こすことがあるため、本来、生食には向かない。皮には脂肪が多いので、ダイエットをしている人は控える。

各部位のポイント

胸肉:脂肪が少なく、火を通しすぎるとパサパサする。蒸し物に向く。
もも肉:脂肪が多い。揚げ物に向き、骨つきのまま調理されることも多い。
ささみ:脂肪が少なく、低脂肪・高たんぱく質。サラダやあえ物によい。
手羽:翼の部分。手羽先、手羽中、手羽元に分かれる。手羽先が人気で、肉はほとんどないがゼラチン質と脂肪に富む。から揚げ、煮込み、だしによい。
ブロイラーは、香辛料やタレなどを吸い込みやすいような肉質につくられているので、風味やコクがほしい水炊きなどの料理には地鶏がよい。
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