産地と属性
標準和名は「ウバガイ」だが、一般的には「ホッキガイ(北寄貝)」として知られている。名称は地域によって多少異なるが、分類学上はバカガイ科バカガイ亜科ウバガイ属であり、バカガイの1種の二枚貝である。産地は、茨城県以北で北海道・青森県・福島県産が多い。ウバ貝とは元々福島県での呼び名だが、市場ではまったくといっていいほど使われていない。旬は特にないが、冬の方が身がしまり味が良いとされる。
小さなものの殻色は茶色だが、大きなものは10cm以上となり殻全体が黒くなってくるため「黒ホッキ貝」と呼ばれ、価格も高くなる。通常、捌いて足(または舌)と呼ばれる部分と貝ひもなどを取り出し、内臓などは食さない。足の部分は湯通しすることで先端が赤くなるのが特徴。寿司ネタとしても良く利用される。
国内での漁獲量は減少傾向にあり、代用品として「ナガウバガイ」という種がカナダなどから輸入され、主に「カナダホッキ貝」という名で流通している。
栄養成分とその働き
ハマグリなど他の二枚貝同様、うまみ成分であるアラニンやグリシンなどのアミノ酸を多く含んでいる。アラニンはアルコール代謝を促進し、肝機能を保護するほか、血糖値を下げるインスリンの分泌促進作用もある。グリシンは不眠を改善する効果や抗酸化作用があり、肌のハリと弾力を保つ役割なども持つ。
また、血中コレステロールの低下や、高血圧の予防、疲労回復の原因となる乳酸の蓄積を抑制するなど、生命活動の維持に欠かせないタウリンも多く含んでいる。
他の魚貝類とくらべ特に豊富なビタミンB12は、葉酸とともに赤血球中のヘモグロビンの生成を助けたり、脳から神の経伝達を正常に保つ働きもあり、欠乏すると貧血などの症状につながる。
また、鉄分やマグネシウム、亜鉛などのミネラル類も豊富に含んでいる。
注意点
選ぶ際は、重みがあり、殻がしっかり閉じているもの選ぶこと。
捌いている途中で、ヒモビルと呼ばれる寄生虫が見つかることがある。人体に害を及ぼさないが、あやまって食べないように取り除くこと。
冷蔵庫に入れておけば、剥き身の状態で3日、貝がついたままの状態で1週間ほど生きていると言われているが、状態をよく見て早めに食すこと。
ポイント
熱を通すと赤くなるとともに、甘味がます。生のものより生臭さも少なくなる。
長期保存する場合は、捌いて可食部分のみを湯通しし、冷凍保存すると良い。