産地と属性
通常のナスにくらべて水分が多く灰汁(アク)が少ないために生食できる品種群のこと。最も有名な産地は大阪府の泉州地域で、「泉州水なす」というブランドで出荷されている。
ナスそのものは、インドが原産で中国を経て日本には奈良時代に伝わったとされているが、室町時代の書物に「澤茄子」と書いて「みつなす」と読みを振っている表記があり、水ナスはそのころから食されていたことがわかる。この「澤茄子」とは現在の大阪府貝塚市澤の地名に由来しており、これが水ナスの原種であるとする説が有力である。
旬は5月から8月頃。ただし、一部ではハウスでの加温栽培もおこなわれているため、ほぼ一年を通して出回っている。
代表的な調理方法は浅漬けだが、独特の食感を生かしてサラダなどで使う場合もある。
栄養成分の働き
ビタミンAを豊富に含む。ビタミンAは、目や皮膚の粘液を保ったり、抵抗力を強めたりする働きがあるが、酸化しやすく光や熱によって分解されやすいという性質がある。その点、「ぬか漬け」にすることで、水ナスに含まれるビタミンAの酸化を防ぐことにつながる。また、ぬか床には強い抗酸化作用があるビタミンEが含まれているほか、米ぬか自体にはビタミンB1や便秘を予防する植物繊維なども含まれており、同時に乳酸菌による整腸作用なども期待できる。
栄養成分
ほかの野菜と比べ栄養素が少ないと言われているナス類だが、皮の紫紺色にはナスニンと呼ばれるポリフェノールの一種を含んでいる。ナスニンはアントシアン系の色素で、強い抗酸化力があり、ガンや生活習慣病のもとになる活性酸素を抑える力が強い。また、コレステロールの吸収を抑える作用もあるほか、目の網膜にあるロドプシンの再結合に働きかけ、眼精疲労の回復にも役立つ。
注意点
ナス類には身体を冷やす作用があるといわれているため、一度に大量の水ナスを食することは避けた方が良い。冷蔵庫で保管すると皮にシワが寄り硬くなってしまうため、保管する場合は冷暗所で。生食をする場合はなるべく早く使う方が良い。
ポイント
皮にハリがあり、ツヤがあるものを選ぶ。また、持ち上げた時に重みを感じるものを選ぶこと。軽いものは中がスカスカになっていることがある。
生食をする場合は、包丁で切るよりもお尻の部分だけに切れ目を入れ、手で裂いた方がフレッシュ感を損なわずに食べることができる。