みりん(味醂)

産地と属性

蒸したもち米に米麹をまぜ、焼酎または醸造アルコールを加えて40日~60日間ほど糖化熟成して作られる酒の一種(アルコール度数約14%)。元々は飲料だったが、現在は主に和食の調味料として用いられる。

起源には中国から伝来したという説、日本古来から作られてきた酒が元になっている説など諸説あるが、江戸時代には甘みのある高級酒として飲まれていた。

上記製法で作られたものを「本みりん」と呼ぶのが一般的になっているが、類似の「みりん風調味料」や「みりんタイプ調味料」と区別するための呼称であり、酒税法上「本みりん」という区分はない。ちなみに「みりん風調味料」「みりんタイプ調味料」とも米を原料とするのは同じだが、「みりん風」はアルコール度数が1%未満、「みりんタイプ」は8~10%の度数があり、塩を加えている。

「本みりん」「みりん風調味料」「みりんタイプ調味料」ともに、全国の酒造会社を中心として作られている。

栄養成分の働き

米麹中の酵素によってもち米のデンプンやタンパク質が分解され、糖類やアミノ酸、香気成分が生まれる。

オリゴ糖は胃酸や消化酵素でも分解されずに大腸まで届き、ビフィズス菌などの腸内細菌の栄養源となって、腸内環境を整えるために役立つ。

必須アミノ酸の一種であるロイシンには、疲労回復や筋力アップに効果があるといわれており、肝機能を高めたり、血糖値の調整を助ける働きもある。アスパラギン酸には体内の窒素代謝やエネルギー代謝を促し、体内の老廃物の処理や肝機能の促進、疲労回復の作用がある。

香り成分であるフェルラ酸はポリフェノールの一種で、高い抗酸化作用によって酸化ストレスから体を守る働きがある。

栄養成分

糖類(グルコース、イソマルトース、オリゴ糖など)、アミノ酸(グルタミン酸、ロイシン、アスパラギン酸など)、有機酸(乳酸、クエン酸、ピログルタミン酸など)、香気成分(フェルラ酸エチル、フェニル酢酸エチルなど)

注意点

よく似た調味料に、「料理酒」(正式には「発酵調味料」と呼ばれる)があるが、みりんの糖化熟成に対してアルコール発酵によって作られているため、全く別のものである。(アルコール度数は約14%で同じ)

「本みりん」は開封後、冷暗所で保存し、冷蔵庫保存は避けること(糖分が結晶化するため)。逆に、「みりん風調味料」はアルコールが入っていないため、冷蔵庫保存する。

尚、「本みりん」は酒類であるため、年齢確認を求められる場合もある。

ポイント

みりんに含まれるアルコールや糖類は、動物性食材の筋肉繊維の崩れや植物性食材のでんぷん粒の流出を低減する働きがあるため、煮物に使われることが多いが、焼き物などに照りやツヤを出す、炒め物などにコクを加えるなど、様々に使用できる。また、アルコールによって材料の生臭さを消すなどの効果もある。

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