産地と属性
主原料であるグルテンは、水で練られた小麦粉からデンプンが抜けることで作られる。グルテンは「麩質(ふしつ)」とも言い、タンパク質の一種であるグルテニンとグリアジンが水を吸収して網目状につながったもの。
室町時代に中国へ修行に行っていた僧が持ち帰ることで日本に伝来し、仏教の広まりとともに各地で食されるようになったと言われている。
「生麩」はグルテンにもち粉を加えて蒸すなどして作られ、ヨモギやアワ、ゴマなどで香りを加えたものや、もみじや桜などの形に細工されたものもある。一方「焼き麩」は、グルテンに小麦粉を加えて焼き上げたもので、棒に巻いて焼いた「車麩」や板状にした「板麩」などがある。他に中華料理で使われる「揚げ麩」もある。
栄養成分の働き
精進料理では肉の代わりに用いられるほど高たんぱくであるにもかかわらず、低カロリーでもあるため、近年はヘルシー素材としても注目されている。
プロリンというアミノ酸の1種を多く含む。プロリンはコラーゲンの合成を促進し、一度破壊されたコラーゲンを修復するはたらきもあり、美肌効果や脂肪を燃焼させる効果があると言われている。
栄養成分
たんぱく質、ナトリウム、カルシウム、鉄、亜鉛など。
注意点
「生麩」は表面がしっとりとして弾力があるものを選び、ぬめりや臭みがあるものは避ける。保存する場合は、ラップで包んで冷蔵庫へ。ただし、早めに使いきること。長期保存の場合は冷凍庫で。
「焼き麩」は長期保存ができるが、湿気を避けて保存すること。
ポイント
「生麩」は薄味の煮物、田楽、揚げ物などに。季節感のある細工物は口取りや椀だねにも。
煮物、鍋物、汁の実、和え物などで使う「焼き麩」は、水や湯につけて柔らかくもどすこと。ただし煮汁が多い場合は、そのまま加えても良い。