馬肉(ばにく)

産地と属性

馬の肉のこと。宗教上の理由から肉食が禁忌とされていた時代でも、地方によっては食す文化があった。広く食べられるようになったのは、戦国時代の武将 加藤清正が朝鮮に出兵した際、食料がなくなって軍馬を食べたことから始まったという説が有力。

国内の主な産地は、熊本県が群を抜いて多く、福島県がそれに続く。輸入肉は、カナダの他、アルゼンチンやブラジルなどの南米からのものが多い。

牛肉や豚肉などと同じようにスネ・モモ・ロース・バラなどの部位があるが、「フタエゴ」(バラの一部)や「コウネ」(タテガミ部分)のように馬肉だけにしかない部位もある。

馬肉を食べるケースで多いのは、生食である「馬刺し」という方法。その安全性に関しては、牛や豚に比べ体温が4~5度高いため雑菌が増殖しにくい、-20度で48時間以上かけて冷凍されるため寄生虫が死滅する、などの理由が挙げられるが、食中毒のリスクが全くないわけではない。

馬肉を「桜肉」と呼ぶようになったのには諸説あるが、肉の色そのものが桜を連想させることに加え、肉食がタブーとされていた江戸時代に、猪を「ぼたん」、鹿を「もみじ」と呼んだのと同様の隠語で呼ぶようになった説などがよく知られている。

栄養成分の働き

馬肉は、牛肉・豚肉にくらべ「低カロリー・高たんぱく」な肉で、たんぱく質は牛肉・豚肉の2倍以上、脂肪分は牛肉の約5分の1でカロリーは半分程度のため、ダイエットに適したヘルシーな肉という特徴がある。

豊富に含まれている鉄分は、血液中の酸素運搬を活発にし、運動能力や学習能力の向上につながる。

牛肉の3倍・豚肉の5倍も含まれているグリコーゲンは、疲労回復に効果があるほか、集中力を高めたり、血糖値を調整する働きもある。

栄養成分

たんぱく質、鉄、セレン、亜鉛、ナイアシン、ビタミンA、ビタミンB2、ビタミンB12、ビタミンE、パントテン酸など

注意点

馬刺しを解凍する際、真空パックのものであれば、そのまま氷水に漬けて解凍すること。常温による自然解凍は、旨味成分を含んだドリップが流出し、雑菌も繁殖しやすくなるため避ける。また解凍したら、その日のうちに食べきること。

ポイント

ブロック肉の解凍は、中心に芯が残る半解凍状態にするとスライスしやすくなる。また、スライスする際の厚みは、肉の部位や硬さによって変えると良い。コウネなどは2~3ミリ、柔らかい赤身の場合は3~4ミリ程度の厚さに。

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