産地と属性
豆腐を凍結させ、低温熟成を経て乾燥させた保存食品。「凍み豆腐」「氷豆腐」などと呼ぶ地域もあるが、製法などに若干の違いはあるものの、ほぼ同じものと考えてよい。
鎌倉時代の高野山で僧たちが食べていた豆腐が厳しい寒さのため凍ってしまい、それを戻して食べたところおもしろい食感であったため、作られるようになったのというのが名前の由来になっている。ただし、中国大陸にも同じようなものがあるため、弘法大師が中国から持ち帰ったという説もある。
一方、東北などの地方には、冬の寒い時期に作られる「凍み豆腐」という保存食が古くからあり、それを戦国時代の武田信玄や伊達政宗などが兵糧用として注目したため、広く知られるようになったという説もある。
江戸時代になると、高野山で作られたものが土産物として重宝されるようになり、「高野豆腐」という名前が定着した。
現在流通している高野豆腐のほとんどは、長野県で生産されている。
栄養成分の働き
基本的な製法の初期段階は普通の豆腐とほぼ同じだが、プレスして成分を濃縮し、凍結・低温熟成させた後で、「膨軟剤」を加え乾燥させて完成となる。膨軟剤は、水戻しの時間短縮と、ふっくらとした食感を得るためのものであり、現在は炭酸カリウムが主流となっている。
高野豆腐は、豆腐を凝縮した栄養成分を持つ。その代表が植物性のたんぱく質で、食後の血糖値の上昇を抑え、中性脂肪の値を下げるレジスタントプロテインを多く含むという特徴がある。
また、豆腐の約6倍もの鉄を含むため、貧血を予防する効果が期待でき、さらに女性ホルモン同様の働きで、骨粗しょう症の予防や更年期障害の軽減をすることが期待されるイソフラボンは、豆腐の約4倍も含まれている。
栄養成分
たんぱく質、脂質、カルシウム、ビタミンE、ビタミンK、レシチン、サポニン、イソフラボン、マンガン、モリブデンなど
注意点
ヘルシー食材としてのイメージがある高野豆腐だが、カロリーは高め。さらに、調理する際に砂糖やみりんなどを使用することが多いため、食べ過ぎると太る可能性がある。特にダイエット中の人は、注意が必要。
ポイント
近年、製造方法が進化し、栄養バランスを調整したものや、戻さずにそのまま使えるものなど新しいタイプのものが生まれている。また、サイズもサイコロ状のもの、薄い断片状にしたもの、粉状のものなど様々な形状のものがあるため、料理によって使い分けるとよい。